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田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国が金融市場の完全自由化を拒む理由

返還から20年、欧米金融機関にとって香港はアジア最重要拠点に成長した

返還から20年、欧米金融機関にとって香港はアジア最重要拠点に成長した

 7月1日は香港返還記念日である。今年で返還から20年が経過した。この間に中国経済は目覚ましい発展を遂げている。

 1996年における中国の名目GDPは8672億ドルで世界第8位。第2位日本の18%、第1位アメリカの11%に過ぎなかった。それが20年後の2016年には13倍の11兆2182億ドルに拡大、世界第2位まで順位を上げている。この間、日本はわずか2%しか増えていない。その結果、2016年における中国の名目GDPは第3位日本の2.3倍に膨張しており、第1位アメリカの60%に達している(データはすべてグローバルノートより)。

 返還当時、香港最大の強みはレッセフェール(自由放任主義)であると言われていた。香港は、中国を背後に持つことに加え、“世界で最も自由な地域である”ことから、欧米金融機関が群がり、アジア有数の金融都市として繁栄した。

 当時、多くのエコノミストたちが、香港返還と共に香港の魅力は低下するだろうとみていた。逆に本土金融市場は国際化、自由化が進み、香港の国際金融都市としての位置付けは、やがて上海に取って代わられるだろうと予想していた。

 しかし、結果は違った。香港は、欧米金融機関にとってはアジア最重要拠点に成長し、本土金融市場は上海を含め、依然としてローカル色の強い市場に留まっている。香港は中国取引の窓口として発展し、上海は国内市場の中核として発展している。それぞれの役割分担は20年経っても大きく変わっていない。

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