田代尚機のチャイナ・リサーチ

好調続くアメリカ株式市場を中国はどう見ているか

アメリカ株式市場の下落リスクとは(写真はウォールストリート)

 2018年に入っても、NY株式市場は上昇トレンドを形成している。2016年1月20日には当時の過去最高値から15.8%低い水準(場中ベース)まで売られた。日足チャートを見ると、2015年8月下旬と2016年1月下旬をダブルボトムとして回復、2016年7月12日に過去最高値(場中ベース)を更新すると、その後は一度も過去最高値から5%以上調整することなく、上昇トレンドを形成している。1月12日終値は、年末最後の取引日である12月29日の終値と比べ4.4%高い水準となっている。

 どこまで上昇するのだろうか? 中国の政府系メディアである人民日報が1月11日付で「美股 火爆背後有風険(アメリカ株 暴騰の背後にあるリスク)」と題して、中国社会科学院世界経済政治研究所の研究員(匿名)による小論文を掲載している。中国がアメリカ株をどう見ているのか、以下、その内容を簡単に紹介したい。

 まず、2017年のアメリカ株式市場が強気相場であった要因として、以下の点を指摘している。

【1】アメリカ経済は持続的に回復しており、それがアメリカ企業の業績改善に繋がっている。失業率の増勢からみると、今回の景気回復は既に99か月続いており、第二次世界大戦後の景気回復の最長記録を更新している。

【2】連邦準備制度理事会(FRB)は2017年、3回の利上げを行ったものの、アメリカ国内の資金流動性は依然として余裕がある。世界全体の金融市場において流動性が非常に高いことが、アメリカ市場の流動性を高める基本的な要因となっている。

【3】2017年末、アメリカ議会において税制改革法案が可決されたことで、法人税率が大きく低下することになった。そのことが、市場における企業利益の成長期待を高めた。

【4】投資家のリスク許容度の高まりが、リスク資産への積極投資に繋がった。アメリカ市場におけるVIX指数(別名恐怖指数、将来の投資家心理を示す指数)の動きをみると過去10年間の平均は約20であるが、2017年の平均は約11に低下している。こうした状況は歴史的にみて、非常にまれである。投資家の将来の株価に対する楽観は極めて高い。

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