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トランプ大統領の輸入制限、中国だけでなく日本も標的となる理由

鉄鋼・アルミ輸入制限の標的は中国だけではない(写真:アフロ)

 米トランプ大統領は、3月1日に、輸入鉄鋼とアルミニウムに関税を課す方針を表明した。輸入鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の追加関税だ。この発表後には、さまざまな方面から、保護貿易に対する反対意見も出たが、トランプ大統領は、動じる様子を見せなかった。

 そして、トランプ米政権は3月23日、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を発動した。欧州連合(EU)やカナダなど7カ国・地域は関税の適用を一時的に猶予する一方、日本や中国には適用する、とした。

 この輸入制限は、中国に対する制裁が、主な目的だと推測できる。米国の対中国貿易赤字は、拡大を続けており、中国からの輸入が、米国の生産・雇用を奪っている、という論旨は、米国民にとっても理解し易いだろう。

 ここで、トランプ大統領が、何故、このタイミングで、事を起こしたのか、考えてみたい。私的な見解に過ぎないが、「中間選挙に向けて、米国民にアピールするためではないか?」と考えている。

 米国では今年の11月に、中間選挙が実施される。大統領選の中間年にある連邦議会や州知事などの統一選挙で、トランプ大統領にとって、初めての全米規模の信任投票の意味合いを持っている。その結果は、今後の政権運営や大統領再選にも大きな影響を与えることになる。与党・共和党が上下両院で過半数を維持できるかが焦点となる。

 トランプ大統領は、是が非にも、この中間選挙に勝ちたい。この中間選挙に負けると、2期目の大統領選挙に勝てない、と考えているのかもしれない。

 輸入制限を掲げることで、鉄鋼やアルミニウムの生産に従事している工場勤務者に、米国での生産や、米国での雇用をアピールできる。それを、中間選挙に結び付けたい、という意図があるのだろう。ひいては、ブルーカラー全体に訴求できる。

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