田代尚機のチャイナ・リサーチ

米中貿易紛争に新展開、中国がトランプ大統領に“選挙協力”も

米中貿易紛争の行方は?(習近平主席とトランプ大統領。Getty Images)

 米中貿易紛争の落としどころが見えてきたようだ。習近平国家主席の特使として米中全面経済対話の責任者である劉鶴副首相が訪米、17日、18日の2日間にわたり、2度目の米中経済貿易協議が行われた。初回は5月3日、4日、トランプ大統領の特使としてムニューシン財務長官率いる代表団が訪中して行われたが、双方の言い分には大きな隔たりがあり、「継続して協議を行う」こと以外、何も決まらなかった。

 2度目の協議に関しても、18日の協議終了後には、共同声明が発表されなかった。この段階では、厳しい結果に終わったといった、悲観的な見方が強まったものの、19日になって、急遽、共同声明が発表された。その内容も含め、劉副首相がメディアの取材に応じ、詳しく説明している。要点はおよそ以下の10点である。

【1】今回の米中経済協議における最大の成果は、「貿易戦争を行わず、相互に行っている追加課税徴収を停止する」といったコンセンサスを得たことである。

【2】米中双方は、エネルギー、農作物、医療、ハイテク製品、金融などの領域で貿易協力を強化する。

【3】中国は、アメリカから買うだけでなく、世界のどこからも買う。中国は第一回国際輸入博覧会を開くつもりで、世界各国からの参加を歓迎する。

【4】習近平国家主席は2018年ボーアオアジアフォーラムで、4つの領域において開放拡大を行うと発言しており、急いでそれを実行する。

【5】米中経済貿易関係の健全な発展は歴史における潮流と符合しており、だれもそれを妨げることはできない。今後両国関係が発展する中で、新たに屈折した関係、矛盾に遭遇するかもしれないが、我々は冷静に見極め、対話を堅持し、適切な処理を行う。

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