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高齢者向け優遇措置の多くは申請主義 知らない人は損をする

部屋や階段への手すりの取り付けにも自治体の補助が出る

 持ち家の年金生活世帯なら、簡単なバリアフリーのリフォームがタダ同然の費用でできることを知らない人がほとんどではなかろうか?

 多くの自治体が設けている「住宅改修予防給付」と呼ばれる制度だ。東京・目黒区を例に取ると、部屋や階段への手すりの取り付け、ドアの付け替え、和式便器の洋式化など費用20万円までのリフォームに9割の補助が出る。しかも、介護認定がなくても、「将来、介護認定される恐れがある」というだけで申請が可能だ。

 実際に介護認定されると、介護保険制度との併用で補助額の上限はさらに増える。風呂の浴槽改修(37万9000円)、キッチンや洗面台取り替え(15万6000円)、階段昇降機の設置(80万円)などが全部認められた場合、約150万円分のリフォームが15万円の自己負担でできる計算になる。

 民間にも、大手スーパーの高齢者向け割引や航空運賃割引、株の取引手数料などの特典を用意している企業は意外に多い。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢氏がアドバイスする。

「シルバーパスからリフォーム費支給、高額医療費など制度をフルに利用するシニアと、知らないままの人ではトータルで家計に何百万円もの差が付くこともあり得ます。恩恵を享受するにはどう申請すれば適用されるかという正しい知識を持つことが重要になります」

 国や自治体は健保や介護など高齢者の負担を増やす際には強制的に年金から天引きするが、高齢者が優遇措置を受けるには申請主義で「知らない人は損する」仕組みを取っている。実際に申請をしてみると、“たったこれだけの手続きで”と思うかもしれない。だが、その申請用紙一枚を出すか出さないかが大きく響いてくるのだ。

※週刊ポスト2018年8月3日号

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