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安倍首相訪中で日中関係に大きな潮目 協調重視にシフトか

日中関係に大きな潮目か(訪中した安倍首相=左と李克強首相。Avalon/時事通信フォト)

 安倍晋三首相は25日、日本の首相としては約7年ぶりに中国を正式に訪問、約43時間、中国に滞在した。その間、日中平和友好条約締結40周年記念レセプションに出席、李克強首相、栗戦書全人代委員長、習近平国家主席と会談を行った。

 今回の安倍首相訪問を中国メディアはどのように報じたのだろうか? 中央テレビ局ネットが報じた内容に一部説明を加えて示すと、およそ以下の通りである。

 日中関係について、過去数十年の歴史を振り返ってみると、トップ間のリードが非常に重要な役割を担ってきた。安倍首相が今回、日中平和友好条約締結40年を記念した式典に出席したことで、改めて条約といった形で示されている各項、原則について、日中両国が共同声明の形で確認できたことは、両国関係において重要な意味を持つ。

 日中は経済規模でみると、世界第2位、第3位の経済大国であり、経済規模は接近している。国家間の関係をみると、尖閣諸島問題の発生以降、競争関係が強まっている。一方、経済の質の面では、日本が付加価値の高い工業製品に強みがあり、中国は、汎用品産業に強みがある。補完関係にあるとみることができる。

 今回の安倍首相訪問に合わせ26日、日中第三国市場協力フォーラムが北京で開かれ、日中の企業や政府関係機関、経済団体などにより協力覚書52件が締結された。そうした中には、銀行、証券、保険など金融面での協力に加え、タイのチョンブリ工業団地におけるスマートシティ化に関する日中タイ3者による覚書などが含まれている。

 日中がお互いの強みを発揮しながら、ASEANでの投資について共同で行うケースが増えれば、この地域の発展が大きく進むことになるだろう。

 日本と中国は、多角的貿易体制、自由貿易体制を堅持する。ASEAN だけではなく、東アジアでも、一帯一路でも、こうした第三国での協調協力関係を強化することができれば、日本、中国、第三国の3者がいずれも勝者となる──。

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