田代尚機のチャイナ・リサーチ

安倍首相訪中で日中関係に大きな潮目 協調重視にシフトか

 安倍首相が日本に帰国後、インドのモディ首相が訪日している。モディ首相は27日夜に訪日、安倍首相は28日、山梨県にある別荘に招いた。29日には東京で首脳会談を行い、「自由で開かれたインド太平洋戦略」に基づく安全保障、経済分野での連携などを確認している。ちなみにこれは、中国への対抗軸としての戦略であろう。安倍首相は、外交上のバランスを取ろうとしている。

 しかし、インドは中国とともにBRICs首脳会議のメンバーとなっている。2017年6月には中国、ロシアと中央アジア4か国で構成される上海協力機構に、パキスタンとともに加盟している。インドは最近、中国との関係改善を進めており、インド太平洋戦略については付かず離れずといった対応をしている。

 米中貿易戦争が激化する中、日本の外交は難しい対応を迫られているが、経済の面から考えると、中国との関係を縮小することは、アメリカとの関係を縮小する以上に厳しい。今回の安倍首相の訪中によって、日中関係は大きな潮目を迎えたのではなかろうか。時間はかかるかもしれないが、日中は対立から協調へと着実に変わって行くだろう。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。

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