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同居する子供への生前贈与が相続時に大きなトラブルを生む

親からの贈与があると相続時にこじれるケースも

親からの贈与があると相続時にこじれるケースも

 配偶者や子供などに生前贈与する場合、年間110万円まで非課税の「暦年課税制度」がある。例えば年間110万円の生前贈与を9年間続けた場合、一括贈与に比べて174万円もの節税になるため、同居する子供に生前贈与するケースが多い。

 だが、それがトラブルの原因になってしまうこともある。神奈川県在住のA氏は、長女に10年かけて計1100万円の生前贈与をした末、1200万円の財産を残して亡くなった。

 法定相続を行なえば、妻が600万円、3人の子供たちが200万円ずつ相続するはずだが、長男と次女は「姉さんには、生前贈与があったじゃないか」と猛反発。さらに「姉さんは私立大学に通えた」「結婚資金も出してもらっていた」と畳みかけた。円満相続税理士法人代表で税理士の橘慶太氏が指摘する。

「不動産の購入資金や学費など、単なる扶養の範囲を超えた特別な財産をもらうことを特別受益と言います。親の死後、“もらえなかった子供”が『俺は結婚してないが、妹は結納代を出してもらった』などと異を唱えて、特別受益分を相続財産から差し引くことを求めるケースが多い。仲の悪い兄弟姉妹の場合、お互い数十年前の特別受益まで引き合いに出して、遺産分割協議が進まないことがあります」

 ここで解決の一助となるのが遺言書だ。

「偏った贈与があった場合、遺言書の付言で『長女には自分の面倒を見てもらうため毎年110万円を10年間贈与した』などと贈与の理由を記しておけば、特別受益として認定されず、兄弟姉妹間で争いが起きる余地が少なくなります。また遺言書に『特別受益の持ち戻し免除』の意思を記しておく方法もある。過去の贈与や特別受益がいくらあっても遺産分割に反映させる必要がなくなります」(橘氏)

※週刊ポスト2019年3月22日号

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