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6月の雇用統計で米利下げ期待は一歩後退 ドル買いは続くか

雇用統計でドル円上昇も、日本の機関投資家が売ってくる?

雇用統計でドル/円上昇も、日本の機関投資家が売ってくる?(チャートはTradingView)

 先週末に発表された6月の米雇用統計の数値が予想以上に良く、ドル買い優勢で週を終えた。今後のドル/円はどのような値動きとなるのか、元インターバンクディーラーで外国為替ストラテジストの水上紀行さんが解説する。

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 7月5日(金)に発表された米雇用統計は、非農業部門就業者数が22.4万人と、予想の16.0万人を大きく上回り、早期の米利下げ期待が後退したことから、全面的なドル買いになりました。

 これを受け海外投機筋は今週もドル買いで攻めると思われます。一方で日本の機関投資家は、戻り売り方針を継続するのではないかと考えています。日本の機関投資家は5月以降、1ドル=109円台前半から1ドル=106円台後半まで、買い下がっていることが観測されており、ドル/円の上昇は彼らにとって、ポジションを決済するための売り場になると予想するためです。
 
「海外投機筋の買い上げ」対「日本の機関投資家の戻り売り」という構図になると考えています。

 海外投機筋は買い上げたポジションを早期に決済する必要があるため、ドル/円の上昇が芳しくない場合、保有ポジションを投げ売り撤退する可能性があります。しかし日本の機関投資家にとっても、ドル/円を売ることは容易ではありません。

昨年からドル/円の上値を抑えていたのは日本の機関投資家か(チャートはTradingView)

昨年からドル/円の上値を抑えていたのは日本の機関投資家か(チャートはTradingView)

 上記チャートのように、日本の機関投資家は昨年の後半からドル/円の戻り売りを114円台、112円台でも行っていると思われ、彼らの戻り売りがドル/円の上昇を阻んでいた原因のひとつかもしれません。今回も自らの売りによって、ドル/円の上昇を抑えてしまう可能性があるということです。

 個人的な予想としては、海外投機筋はいずれドル/円の買いを諦めて決済すると考えており、結果としてドル/円は反落し、上値を切り下げる相場になると見ています。

【PROFILE】水上紀行(みずかみ・のりゆき):バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀において為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。主著に『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』(すばる舎)、『FX常勝の公式20』(スタンダーズ)他多数。メールマガジン「水上紀行のFXマーケットフォーカスト」配信中。ツイッター@mizukamistaff

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