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タイやミャンマーなど新天地で“第2の人生”送る日本の「定年車両」たち

タイに渡った旧国鉄C56形(写真提供/白川淳)

タイに渡った旧国鉄C56形(写真提供/白川淳)

 日本での役割を終えた後も、海外で走り続ける日本の列車があった。これまでに数千両もの車両が、海を渡っている。

 海外で鉄道写真を撮り続けるカメラマンにして鉄道史研究家の白川淳氏が語る。

「インドネシア、フィリピン、ミャンマー、タイ、マレーシアなどアジア諸国を中心に中古車両が譲渡され、今では懐かしい車両が走っています。

 日本では、数十年走らせた後は廃車にするのが一般的。安全基準が厳しく、整備や修理費を考えると買い換えた方が安いからです。ホームの自動ドア設置に対応できないなど、時代の流れで使えなくなるケースもあります」

 ミャンマーではODA(政府開発援助)の一環で鉄道整備が進められている。2013年から政府が車両の輸送費を援助していることも後押しし、中古車両が数多く譲渡されている。

「国鉄時代に量産されたキハ40系車両が、今も最大都市ヤンゴンの環状線を中心に各地で走っています。日本の車両は頑丈で、整備すればまだ安全に使える。途上国では重宝されています」(白川氏)

 日常的には使われていないが、タイのバンコクには太平洋戦争中に持ち込まれた蒸気機関車が残っている。

「タイとビルマ(現・ミャンマー)間の戦時輸送に使うため、当時、日本から90両が送られました。機関車が走っていた旧・泰緬鉄道は、映画『戦場にかける橋』(1957年)の舞台にもなりました。

 ほとんどが戦争で大破しましたが、1979年には2両がタイから帰国し、1両は大井川鐡道で今も走っています。残された2両もタイで大切に保管されていて、年に1度のイベント時に走行します」

※週刊ポスト2019年8月30日号

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