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「現金で相続」の落とし穴 夫の生前に自宅売却したことが裏目に…

現金での相続が危ない理由とは?(イメージ)

現金での相続が危ない理由とは?(イメージ)

 遺産を巡る骨肉の争い、いわゆる“争続”の件数はこの10年で1.5倍に増えている。「ウチは関係ない」なんて高をくくっていても、親の死を悲しむ間もなく、相続に頭を抱えることになるかもしれない。

 いざ「相続」に直面した時に大慌てしたり、トラブルが降りかかってこないよう、高齢になった親や配偶者の生前中に手続きや準備をして必要がある。

 その一方で、2年前、夫に先立たれた神奈川県在住の主婦・斉藤さん(仮名、54才)のように、先手を打ったつもりが仇となったケースもある。

「60代の夫は、検査した時には胃がんのステージIVでした。ほどなくして余命宣告を受けると、2人の子供たちがスムーズに遺産分割できるようにと、慌てて家を売却しました。

 現金をできるだけ多く手元に残しておいた方が便利だろうとの考えからでしたが、これが大失敗でした。多額の相続税がかかり、大幅に目減りしてしまったのです。払わなくてよいはずの相続税がかかり、専門家に相談しなかったことを悔やみました」(斉藤さん)

 相続税の算出は、財産の「評価額」が重要になる。評価額の価格によって累進形式で相続税率が適用されるからだ。これまで1万4600件以上の相談に乗ってきた、相続コンサルタントの曽根恵子さんが話す。

「相続財産が多い場合、家を売るとかえって損することがあります。自宅の相続税は『建物』と『土地』のそれぞれの評価額をもとに算出されます。

 建物は減価償却で年々価値が目減りするため、評価額は建築当時から4割程度引かれます。土地も、330平米までなら『小規模宅地等の特例』を使えば、評価額は8割も減額されるのです」

 たとえば1億円の自宅の土地なら、評価額は2000万円になる。相続では、すべてを現金にすることだけはやめた方がよいだろう。

※女性セブン2020年1月2・9日号

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