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簡単ではない「生活保護申請」 確実に受理されるために準備すべきこと

生活保護の対象者と基本的な受給条件

生活保護の対象者と基本的な受給条件

 老後資金は2000万円必要──などと言われる今の時代。支出の見直しから年金の繰り下げ受給、公的機関の支援制度活用まで、さまざまな方法でやりくりしてもなお、老後資金が足りないという人もいるだろう。

 生活に困窮し「もうダメかも」と思ったら、躊躇なく自治体の福祉課や福祉事務所で「生活保護」の申請をすべきだ。しかし、準備をせずに行くと、まず通らないという。何もわからないままとりあえず申請に行き、即座に却下されたことで、「行政は怖いし、あてにならない」と意気消沈してしまう人もいる。認定NPO法人理事でソーシャルワーカー(社会福祉士)の藤田孝典氏が話す。

「自治体にもよりますが、用意すべき書類が多く、その煩雑さで、申請を諦める人もいます」

 今年2月には、20代女性が生活保護を申請した際、神奈川県横浜市の福祉事務所の対応が不適切で、申請を拒否されるということも報じられた。コロナ禍の不景気で「生活保護」の申請をする人が増え、職員の対応も悪くなっているのだ。しかし、諦めてはいけない。

「最近は、それまでネックとされてきた申請者の親類縁者に援助の可否を問い合わせる『扶養照会』や、『自動車の保有』の要件が緩和されています。しかしそれを知らない人は多い。だからこそひとりで申請せず、正しい知識を持った専門家や支援団体などを頼り、窓口に同行してもらうなどして臨む必要があります」(藤田さん)

 そんな準備の1つに“住み替え”もある。生活保護を受給する場合、自治体によって決められた家賃以下の賃貸住宅に住むことになる。ひとり暮らしの家賃上限は、東京23区の場合、約5万3700円。それを超えていると、転居をすすめられることも。

 高齢者にとって、住み慣れた住宅からの引っ越しや、エレベーターのない2階以上の部屋に住み替えるのは想像以上に負担となる。それによって引きこもるケースも多い。申請受理後に住み替えなくて済むよう、あらかじめ自治体に上限額を聞いた上で、その範囲内の住宅に住んでおくこともおすすめだ。

取材・文/桜田容子

※女性セブン2021年7月29日・8月5日号

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