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相続ルール変更を前に「急いで生前贈与」か「普通に相続」どちらが正解?

亡くなる15年前の贈与分まで課税対象になる可能性も

亡くなる15年前の贈与分まで課税対象になる可能性も

 親や配偶者が亡くなって遺産を受け取るとき、または自分が亡くなって配偶者や子供に遺産を残すとき──誰もがいつか必ず直面する相続のルールが、大きく変わろうとしている。

 2020年12月、与党税制調査会の「令和3年度税制改正大綱」にて、「格差固定防止のため、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直す」とされた。これが何を意味するのか。相続実務士で夢相続代表の曽根恵子さんが解説する。

「相続税は亡くなった後に課せられるのに対し、贈与税は生前に贈与した場合にかかる税金です。現在『贈与』とされているものにはさまざまな優遇制度がありますが、それらをすべて『相続』とみなし、贈与税を実質的に廃止または大幅に縮小するということです」

15年前に贈与したものも相続税の対象に?

 現在「教育資金として1500万円まで」「結婚資金として1000万円まで」など、贈与税の非課税枠は多い。なかでも「年間110万円まで」が非課税になる暦年課税制度は相続税対策の基本といわれている。だが、これらもすべて廃止または縮小される見込みだ。

「実は現行の暦年課税でも、亡くなる3年前以内に贈与した分は相続税の対象になります。ところが、その課税対象を10~15年以内にまで広げようとする検討がされているのです」(曽根さん・以下同)

 となると、仮に60才から80才までの20年間、コツコツ生前贈与してきた場合、65才以降の生前贈与はすべて相続とみなされ、課税されるということだ。もはや、子や孫に財産を渡したいなら、相続税を納めなければ許さないと言っているようなものだ。しかも、同大綱には「相続時精算課税制度」は残される見込みだとある。

「これは、60才以上の父母または祖父母から20才以上の子や孫に対して一括贈与する際、2500万円までは非課税になりますが、贈与した父母や祖父母が亡くなると、とたんに“相続した”とみなされ、課税される制度。一見、節税のように見えますが、実際は相続税の先送りなのです」

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