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相続税対策で息子名義の銀行口座に毎年110万円振込したら課税対象に…暦年贈与の落とし穴

なぜ非課税にならなかったのか?暦年贈与に落とし穴も(イメージ)

なぜ非課税にならなかったのか?暦年贈与に落とし穴も(イメージ)

 相続・贈与を巡る様々な制度変更が続いてきた。どんどん変わるルールを理解しないと、思わぬペナルティが待ち受ける。

 たとえば、亡くなった人の遺産が基礎控除(※「3000万円+600万円×法定相続人の数」が相続税の基礎控除)を超える場合、相続税がかかる。そのため、相続税対策として生前に財産を子や孫に渡し、遺産を圧縮する人は少なくないが、そこには落とし穴もある。

【失敗】贈与した子や孫に通帳などを渡していない

 まずは「年110万円までの贈与は非課税」であることを利用した「暦年贈与」の失敗例だ。52歳の会社員男性はこう肩を落とす。

「数年前に亡くなった父は“相続税を払うのはバカらしい”と言って、毎年、私の息子たち名義の口座に110万円を振り込んでいました。ただ、“若いうちに無駄遣いするといけないから”と、通帳など一式を父が管理していた。父の死後、税務署の調査でそれは『名義預金』だと指摘され、結局、相続税の課税対象になってしまいました」

 このように「口座の名義が子や孫になってさえいればいい」と勘違いする例は少なくないという。相続・贈与に詳しい税理士の山本宏氏が解説する。

「本人はきちんと贈与したつもりでも実際は贈与契約が成立しておらず、預金の名義だけが変わっているというミスがたくさんある。最も多いのは通帳や印鑑が贈与を受けた子や孫の手元にない『名義預金』です。税務調査で発覚すれば、修正申告が必要になります」

 税務調査で誤魔化すことは困難なのだという。

「税務署は調査に先立ち、お金の流れをほぼ解明しています。そのうえで、当該の口座の預金を手にした経緯を尋ねる。するとほとんどの人は『父の死後に、母から“父さんがお前のために残したお金だよ”と通帳を渡されました』などと正直に答えてしまう。そうなれば実質的に親の財産なので相続税の課税対象。過少申告加算税として、本税+10%が課されます。そうならないためには、贈与された側が財産を使える状態にしておかなくてはなりません」(山本氏)

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