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相続税対策で息子名義の銀行口座に毎年110万円振込したら課税対象に…暦年贈与の落とし穴

【失敗】贈与契約書を「一括」で結んでしまった

 贈与の失敗パターンは他にもある。都内在住の68歳男性はこう話す。

「うちの父は孫3人に対して、毎年決まった額を振り込んでいた。死後にそれが『定期贈与』になると税務署から指摘されてしまいました。問題になったのは、『贈与契約書』でした。〈毎年×万円を10年にわたり生前贈与する〉と書いていたのがダメだったというのです」

 前出・山本氏は「複数年にわたって贈与する場合も、贈与契約書は毎年、作る必要がある」と話す。

「毎年同時期に同額を贈与するのは構いません。ただし、10年分の贈与を先に契約して、それを毎年110万円の分割払いにするような形式はダメなんです。贈与の開始時に計1100万円贈与する意思があったのに、一括で払うと税金が高くなるから分割したものとみなされ、遡って贈与税を課されることになります。

 そうならないためには毎年、贈与契約書を作り、いつ、誰が誰に、何をどれぐらい、どのような方法で贈与したかを明確にしておきましょう」

 大好評のムック『週刊ポストGOLD 相続の大改正』では、ここに登場した有識者たちが様々な制度変更について微に入り細に入り解説している。制度を正しく理解して賢く活用したい。

※週刊ポスト2022年12月16日号

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