日経平均は2週間で1797.59円高
投資情報会社・フィスコが、株式市場の4月28日~5月9日の動きを振り返りつつ、5月12日~5月16日の相場見通しを解説する。
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先々週から先週の日経平均は2週間で1797.59円高(+5.03%)の37503.33円と大幅上昇。米国関税方針を警戒視する動きが緩和したことで米国株が持ち直したほか、日米中央銀行による会合後の為替市場では円安ドル高が進行。外部環境の改善を材料にプライム市場の大型株が買われ、日経平均は終値ベースでは3月28日以来となる37000円台回復を達成した。
4月30日から5月1日に開催された日本銀行による金融政策決定会合の結果は想定通りの「現状維持」だったが、その後に行われた植田和男日銀総裁による記者会見では、早期の利上げに対して慎重な姿勢が見られたことで、年内利上げ観測が大幅に後退。日米金利差がやや拡大するとの見方も強まり、為替は円安ドル高に振れた。
また、懸念されていた米国関税交渉に関しても、日米関税協議で一定の進展が見られたほか、ベッセント米財務長官と中国の何立峰副首相がスイスで会談すると報じられたこと、米英間の貿易を巡る関税で合意など前向きな進展が確認できたことなどから、投資家心理は大幅に改善。医薬品関連は新たな米国関税方針が重しとなったが、企業決算本格化を迎えるなか、好業績や株主還元策の拡大などを発表した銘柄を中心に買われ、日経平均は相互関税導入前の3月末の水準まで値を戻した。なお、TOPIXは2017年10月に記録した12連騰以来の11連騰となった。
4月の米国市場は、「株安、債券安、通貨安」の「トリプル安」が度々発生したが、足元、ベッセント財務長官とラトニック商務長官の金融出身者高官に対する期待感などが先行し、米国市場は落ち着きを取り戻している。最新データである4月29日時点の米商品先物取引委員会(CFTC)が公表する円買いポジションは差し引き17万9212枚と過去最大を更新しているが、5月に入っての円安の巻き戻しでポジションはそれなりに減少しているとの観測。
仮に、東京時間10日未明に発表される最新データで円買いポジションの傾きが大きいままであれば、ポジション解消に伴う円売り期待が強まる可能性はある。円安ドル高進行は、輸出関連企業が多い日経平均には追い風となることで、日経平均一段高の材料となろう。米関税方針の方向性次第では、リスク回避の円買いポジションが再度積み上がる可能性も十分にあるため、楽観はできない状況だが、為替市場での過度な悲観論が後退したことは株式市場にとってポジティブだ。