相場歴70年の89歳現役トレーダー・シゲルさんこと藤本茂氏
トランプ米大統領の関税政策によって、先行き不透明な相場状況が続いている。4月には日経平均株価が史上3番目となる2644円の下落を記録した。投資をしている人であれば、そうした「暴落時」になかなか心穏やかではいられないが、その後に「反騰」もあるから難しいところだ。今回も5月12日に米中が暫定的な「関税115%引き下げ」に合意すると、NYダウは1000ドル超の上昇を見せ、日経平均も値上がりしている。株式投資で億超えの資産を築いた経験豊富な「億り人」は、暴落をどう受け止めるのか。
総資産20億円超の89歳現役トレーダー・シゲルさんと総資産約3億円の48歳サラリーマン投資家・弐億貯男氏の対談(週刊ポスト4月28日発売号掲載、マネーポストWEBにて全文公開中)では、年齢も投資手法も大きく異なる2人がそれぞれのノウハウについて語り合った。
シゲルさんは短期売買だけでなく、中長期的な目線で「増収・増益・増配」が見込める銘柄を選び、「安く買って高く売る」ことを徹底してきたと語り、弐億氏は内需系の割安成長株に中長期投資することで資産を増やしてきたことから、トランプ関税ショックの局面でも含み益を増せたと明かしている。
2人はリーマン・ショックをどう受け止めたか
取材現場では、これまでの急落局面を振り返って話が弾む場面もあった。投資歴70年に及ぶシゲルさんは「長いこと投資しているから、本当にいろいろあった」としたうえで、1990年代初めのバブル崩壊では「資産が10億円から2億円に減った」と振り返った。
一方の弐億氏は2003年から投資を続けてきた。シゲルさんから「20年以上もやっていると、いろいろ経験してきたでしょう?」と話を振られた弐億氏はこう応じた。
「やっぱり(2008年の)リーマン・ショックの時ですね。その時までは、元手の10倍にあたる2500万円くらいまで資産が増えていたんですが、それが一気に1000万円ほど減ってしまいました」