カナデン(8081):市場平均予想(単位:百万円)
企業概要
カナデン(8081)は、三菱電機系の専門商社。三菱電機の販売代理店であり、FA機器から産業ロボット、各種電子機器、設備機器、空調・冷熱設備、半導体、電子デバイス、セキュリティ商品から医療機器まで幅広い分野の製品を取り扱っています。
同社の創業は1907年(明治40年)。「神奈川電気合資会社」を前身とし、電気機械器具材料販と電気工事請負業を行っていました(神奈川電灯は横浜市内に初めて電気供給を行った会社です)。
その後1922年に三菱商事経由で三菱扇風機の販売を開始し、1925年には三菱電機製品の販売代理店契約を締結して三菱電機の代理店として実績を積み上げ、三菱電機製品の代理店としてトップクラスの実績をもつ企業に成長。1951年には横河電機製作所(現 横河電機)と販売代理店契約を締結し、他のメーカーとの取引も拡大させ事業規模を拡大していきました。
現在でも仕入れ高の7割を三菱電機系が占めますが、仕入れ先は約1500社に及び、FA機器から重電・電子機器、半導体、空調機器など様々な製品を約2800社に向け販売しています。
近年では、営業DX化を進めており、製品サイトの掲載数は350社/1100製品まで増加しています、
ビッグトレンドによる需要を享受できる事業ポートフォリオ
展開する事業セグメントは、工場自動化を担う「FAシステム」、ビルにテクノロジーを駆使した最新設備を導入する「ビル設備」、公共関連の「インフラ」、情報通信や半導体・デバイス分野に新しい技術を取り入れる「情通・デバイス」の4つで構成されます。
【1】主力は「FAシステム事業」で、2025年3月期においては売上の38%を構成しました。産業用可搬型ロボットをはじめとするFA機器や産業システム、加工機等を取り扱っており、工場自動化の需要を享受しています。自動化を図る機器や関連システムで、用途や規模に応じた機器を組み合わせて導入することから、事業内だけでもクロスセルが可能な収益性の高いビジネスです。
【2】次に大きい事業は「情通・デバイス事業」です。情通・デバイス事業は、半導体、電子デバイス映像、セキュリティーソリューションシステム、電子医療装置等を取り扱っています。M2Mを実現する無線モジュールが伸びています。2025年3月期売上高の25%を構成しました。
【3】3番目はインフラ事業で、公共交通システムをはじめ、地域防災システムや航空管制システム、太陽光発電設備やリチウムイオン電池等を取り扱っています。売上構成比は23%でした。
【4】最後はビル設備事業で、無停電電源装置や太陽光発電システムのほか、省エネ化に貢献するLED照明、空調機器、住宅設備機器、またビルマネジメントシステムやエネルギーマネジメントシステム・ZEBソリューションの提案を行っています。売上構成比は14%でした。
FA分野の自動化・省エネ化をはじめ、IoT、ビル設備分野のカーボンニュートラル対応と、ビッグトレンドに乗ることができる事業基盤となっています。
強み:部門間連携によるトータル提案
注目すべきは、現在の事業ポートフォリオは、親和性が高く、組み合わせによる提案ができることです。同社では、DX化によって、顧客情報や技術・製品情報の全社共有を実現することで、クロスセルを可能としています。
例えば、インフラ事業だけで行っていた鉄道会社への車両機器納入が、部門間連携によって規模が拡大しました。車両機器の販売のみならず、鉄道会社の商業施設やホテル事業にまで手を伸ばし、LED証明や空調設備、自動化ソリューション、セキュリティソリューションなどに至るまでを包括的に提案するようになりました。
中心となるFA事業では、シーケンサ・インバータ・ACサーボ・ロボットなどの制御系・駆動系機器、生産現場で起きる変化を検出・計測するセンシング機器、電気設備の安全性を確保するブレーカー・マグネット・計器・トランスなどの配電制御機器を取り扱っていますが、これらを組み合わせて提案するだけでなく、情報・デバイス事業から無線モジュールを組み合わせることも可能です。最近も製造業の搬送作業の人手不足と作業効率改善ために、自動搬送機+システム設計の組み合わせで納入を完了しました。
FA導入は統合的な製品供給が必要となることから、クロスセルによって収益性を高めやすい事業です。同社は、三菱電機グループの総合力に加え、提携する1500社から顧客ニーズに合わせて必要なものを仕入れ、的確に組み合わせて提案できることが競争力となっています。
【プロフィール】
戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。