オンワードホールディングス(8016):市場平均予想(単位:百万円)
企業概要
オンワードホールディングス(8016)は、60社から成るアパレル持ち株会社。『23区』や『自由区』『ICB」『KASHIYAMA』『UNFILO』といった中高価格帯ブランドを国内で展開するほか、『J.プレス』や『ジョゼフ』等とライセンス契約を結び海外事業を展開しています。なお2025年2月期の海外売上は全体の11%でした。
近年は単なる販売にとどまらず、インターネットを活用したOMOサービス「クリック&トライ」という取り組みが成長を後押ししています(後述)。「販売機会を増やし、機会損失を減らす」ことから、在庫圧縮などを通じて収益力を上げる効果をもたらしています。
またアパレルだけでなく、ウェルネス関連事業として、バレエ用品(『Chacott BALANCE』)やコスメ(『チャコット・コスメティクス』『product(ザ・プロダクト)』)、ペット用品となごみグッズ(『クリエイティブヨーコ』)、またカタログギフト(大和)なども展開しています。
高収益体質への道のり:事業整理と集中
同社の創業は1927年。大阪に設立した「樫山商店」を前身とします。特に戦後から高度経済成長期に日本を代表する紳士服メーカーとして成長を遂げた同社ですが、1990年以降、女性の社会進出を背景に婦人服を本格化。
『組曲』を筆頭に『23区』『ICB(アイ・シー・ビー)』とブランド展開を加速させ、百貨店を中心に事業を拡大させていきました。2009年には直営Eコマースサイト「ONWARD CROSSET(オンワード・クローゼット)」を開設。2017年には、低価格・短納期を実現したオーダーメイドスーツ『KASHIYAMA(カシヤマ)』ブランドを開始しました。
事業を次々と拡大させていった同社でしたが、2019年以降は事業の集中と選択を進めたことが、現在の高収益体質を持つ同社の礎を築いたようです。
不採算店舗の閉鎖と不採算事業の撤退
同社では、2019年10月~2022年8月の間に、国内約1800店の不採算店舗を閉鎖しました。海外ではイタリア事業や米「オープニングセレモニー」、「ジルサンダー」などの不採算事業から撤退、コロナ禍で低迷したホテル事業も2022年に売却するなど、不採算事業を思い切って整理しました。
以降は収益性の高い事業に集中します。例えば海外では不採算事業から撤退した一方で、米「J.プレス(J.PRESS)」や欧「ジョゼフ(JOSEPH)」、アジアでの生産・販売事業など、それぞれのエリアのコア事業に注力する体制が整えられました。海外アパレル事業は赤字ですが(約1.2億円)、2025年2月期には11期ぶりに黒字化が見込まれています。
【プロフィール】
戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。