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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】ティア Research Memo(5):葬祭事業はM&A効果により過去最高を大幅更新

*14:35JST ティア Research Memo(5):葬祭事業はM&A効果により過去最高を大幅更新
■ティア<2485>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) 葬祭事業
葬祭事業の売上高は前年同期比23.4%増の10,733百万円、営業利益は同26.3%増の2,386百万円となり、過去最高を大幅に更新した。前述のとおり「ティア」直営店が葬儀件数の増加や葬儀単価の上昇により順調に拡大したことに加え、八光殿と東海典礼の業績がフル寄与したことが主因だ。

「ティア」直営店の葬儀件数は既存店の伸びに加え、2024年9月期下期以降に出店した新店効果もあり、前年同期比6.5%増の8,587件となった。葬儀単価は同2.2%上昇の858千円となり、葬儀売上高は約9%の増収となった。地域別葬儀件数の前年同期比の伸び率を見ると、名古屋市内が7.5%増、愛知県(名古屋市除く)が9.3%増、大阪府が0.2%増となった一方、首都圏が6.9%減と唯一落ち込んだ。首都圏の減少は、前期末に都内のサロン7店舗を閉店した影響によるもので、それ以外の店舗については堅調に推移したと見られる。

八光殿及び関連ブランドの葬儀件数は前年同期比98.9%増の1,219件、葬儀単価は同5.1%上昇の1,038千円となった。東海典礼及び関連ブランドの葬儀件数は同121.1%増の882件、葬儀単価は同22.6%増の1,152千円となり、いずれも計画を上回った。東海典礼は、前期に豊橋市エリアの店舗を「ティア」ブランドに切り替え、同社のマーケティング施策に上手く乗れたようで、豊橋市内での同社の市場シェアも拡大した。葬儀単価の上昇については、同社が行っている葬儀プランナーによる提案営業を取り入れた効果と見られる。これは、遺族と葬儀打ち合わせの際に、葬儀プランナーが顧客ニーズに応じて最適な葬儀プランを提案する取り組みであり、顧客満足度の向上と葬儀単価を同時に引き上げる効果がある。八光殿でも2025年3月より同様の取り組みを開始しており、今後その効果が出てくるものと期待される。

(2) FC事業
FC事業の売上高は前年同期比2.2%減の287百万円、営業利益は同7.3%減の44百万円と減収減益に転じた。FC店舗が前年同期から4店舗増加の71店舗となりロイヤリティ売上は増加したものの、前年同期に開設したFC店舗向けの物品販売が反動減となり、減収減益要因となった。なお、FC店舗の葬儀件数は前年同期比9.5%増の3,614件となった。

(3) その他
その他の事業は、不動産事業とリユース事業等で構成され、売上高は568百万円、営業利益は34百万円となった。

不動産事業は、遺族からの不動産の相続や売却に関する相談ニーズに対応するため、2024年2月より開始した事業で、不動産の買取・販売を行っている。これまで同社は不動産事業者を紹介するに留まっていたが、遺産相続において不動産の売却を検討する遺族は多く、自社での対応に切り替え、ワンストップでのサービス提供が可能となった。相続・不動産関連事業の売上高は前年同期比5.4倍増の335百万円となり、ニーズの高まりにより順調に推移した。

一方、八光殿が展開するリユース事業は、中古品の買取専門店「リサイクルマート」を2店舗運営するほか、2024年7月に買取専門店「かんてい局 じゃんぼスクエア香芝店」を開業した。同店舗で買い取った商品は、ECサイトを通じて一般向けに販売するほか、専門事業者へも販売している。また、葬儀との親和性を高める取り組みとして、遺産整理・買取サービスも手掛けている。リユース事業における買取総額のうち、買取金額の約1割が遺品整理・買取サービスが占めていると見られる。

収益拡大により財務体質も改善傾向に

3. 財務状況と経営指標
2025年9月期中間期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比869百万円増加の28,196百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び預金が921百万円増加し、固定資産ではのれん及び顧客関連資産が240百万円減少した。

負債合計は前期末比77百万円増加の19,217百万円となった。有利子負債が65百万円減少した一方で、未払法人税等が209百万円増加した。純資産合計は前期末比792百万円増加の8,978百万円となった。主に親会社株主に帰属する中間純利益1,017百万円の計上と剰余金の配当225百万円による。

経営指標を見ると、自己資本比率が前期末比1.8ポイント上昇の31.8%、有利子負債比率が同13.6ポイント低下の131.9%となり、ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)も986百万円改善するなど、収益の拡大によって財務体質も改善方向に転じたと言える。同社は前期に実施したM&Aの資金を金融機関からの借入金で賄ったため、一時的に財務体質は悪化したが、今後はグループシナジーの創出による収益拡大によって財務内容も良化していくものと弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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