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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】アジア投資 Research Memo(6):日本とアジアにまたがる独立系の総合投資会社

*11:06JST アジア投資 Research Memo(6):日本とアジアにまたがる独立系の総合投資会社
■会社概要

1. 事業概要
日本アジア投資<8518>は、日本とアジアにまたがる独立系の総合投資会社として、PE投資のほか、再生可能エネルギーなどのプロジェクト投資(実物資産投資)も手掛けている。豊富な投資経験とブランド、ネットワーク、人材、事業パートナーなどの事業基盤を生かしながら、革新的な技術やビジネスモデルを持ち、高い成長力を有するベンチャー企業及び中堅・中小企業等への投資や成長支援を通じて、日本とアジアの両地域における産業活性化や経済連携の拡大などに貢献してきた。また、最近では上場企業にも投資対象を広げ、上場企業の成長戦略や資本政策を支援している。

同社グループは、金融機関等の出資者からの出資及び同社グループの出資により組成される「投資事業組合(ファンド)」からの投資を中心に行っており、同社グループが管理運用等を行っているファンド運用残高は14,130百万円(10ファンド)となっている(2025年3月期末時点)。

事業セグメントは投資事業の単一であるが、事業領域に応じて「投資開発事業」「投資運用事業」「ファンド・プラットフォーム事業」の3つの事業に区分される。

事業別の概要は以下のとおりである。

(1) 投資開発事業
ファンドの組成や融資により資金を調達し、設備を保有するSPC(特別目的会社)に投資を行い、設備建設後に運営または売却する投資事業を展開している。今後はファンドを通じた投資に切り替える方針である。主な投資対象は、エネルギー(再生エネルギー発電所、蓄電所)、インフラ(物流施設)、ヘルスケア(障がい者グループホーム)等である。

(2) 投資運用事業
企業の発行する有価証券を対象とする投資事業を展開している。同社の強みを生かしてファンドを組成し、上場株式・上場債券を対象としたバイアウト投資やPIPEsなどを行うほか、未上場企業へのベンチャー投資やバイアウト投資を行っている。

(3) ファンド・プラットフォーム事業
子会社のJBSが提供する、ファンド運営のミドル・バック業務のサービスを提供している。JBSは同社グループが運営するファンドのバックオフィス部門として、長年にわたり蓄積したスキルと経験に基づき、PEファンド等の運営企業に対し、事務受託サービスを提供している。JBSは、この分野で20年以上の実績を有している。

2. 沿革
同社の前身である日本アセアン投資(株)は、1981年7月に経済同友会を母体として設立された。日本とASEAN間の民間投資を促進することが設立の経緯である。1985年12月には、海外経済協力基金(OECF)の資本参加により、半官半民の体制となった(ただし、1989年10月にOECFによる保有株式は民間企業へ売却)。

1988年ごろからは、当時の政府が公約した「貿易黒字の資金還流」の一翼を担う目的で、ASEAN各国に拠点を設立してASEANでの投資事業を開始した。1991年6月には、現在の日本アジア投資(株)に商号変更し、ASEANに限定していた投資対象地域を日本・台湾・韓国へ拡大した。その後も順調に業績を拡大すると、1996年9月に日本証券業協会に店頭売買銘柄として株式を登録した。2005年からは中国での投資事業に本格参入し、2007年12月には中国子会社を設立した。2008年6月に東京証券取引所市場第1部へ上場を果たした後、2012年には安定収益の拡大のため再生可能エネルギープロジェクトへの投資も開始した。その後、ヘルスケア(高齢者向け施設・障がい者グループホーム)、スマートアグリ(植物工場)、ディストリビューションセンター(物流施設)と、投資するプロジェクトの種類を多様化している。

2024年6月には社長交代とともに新体制へと移行
3. 企業特徴
(1) 収益モデル
同社の収益構造は、投資開発事業と投資運用事業において共通して、外部資金を活用したファンドビジネスを基盤としている。同社グループが管理運用するAUMに対するAMフィーが安定収益源となっている。また、ファンド・プラットフォーム事業も安定収益を得られ、スケールメリットの追求が収益性向上につながる特徴を持つ。投資運用事業については、成功報酬がアップサイドとして期待できるほか、投資開発事業及び投資運用事業ともにAUMの一定割合※を自社持分(GPコミット)として保有するため、その部分は資産売却時に一時的なキャピタルゲイン(あるいはロス)を生み出す可能性がある。

※ 投資開発事業のGPコミットはAUMの20%、投資運用事業はAUMの3.3%と同社では計画している。

なお、自社持分については資産クラスによってリスク・リターンの特性が決定されるが、一般的に実物資産投資のように比較的キャッシュ・フローの安定した資産はミドルリスク・ミドルリターンであり、有価証券投資(特にベンチャー投資)はハイリスク・ハイリターンといえる。したがって、同社の収益構造はAUMの拡大による安定収益を軸としながらも、一定割合においては成功報酬や自社持分によりアップサイドを追求できる、重層的な収益構造である。

(2) 同社の強み
同社の強みは、a) アジアでの歴史、b) 最先端の業界情報収集力、c) ベンチャー企業とのネットワーク、d) ファイナンススキーム構築力の4つに集約できる。

a) アジアでの歴史
1981年に経済同友会を母体として設立以来、40年以上にわたり日本とアジアの経済交流に貢献し、アジアでの高い知名度を有している。

b) 最先端の業界情報収集力
投資候補となる企業やプロジェクトの発掘を通じて、専門性の高い、業界の最先端の動向を把握している。

c) ベンチャー企業とのネットワーク
国内外で300社超の上場実績があり、これまでの投資活動を通じて、多数のベンチャー企業と親密な関係を構築している。そのネットワークを、投資先企業の支援や同社が新規事業テーマを開拓する際のアライアンスに活用している。

d) ファイナンススキーム構築力
国内外で3,300億円の累計投資実績を有している。投資開発事業では、同社からの投資資金だけでなく、プロジェクトファイナンスなどの融資資金も交えた調達スキームを構築している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

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