*12:08JST トレンダーズ Research Memo(8):美容マーケティング等に集中(2)
■トレンダーズ<6069>の今後の見通し
2. 中期経営計画
2024年3月期より2026年3月期までの中期経営計画を推進してきたが、2025年3月期決算とともに中期経営計画の見直しを発表した。当初計画では2026年3月期までに営業利益20億円の達成を目標としていたが、美容カテゴリ以外の取引が想定以上に落ち込んだことや、メディカルマーケティング領域の収益化が計画比で遅れていることを踏まえて見直しを決定した。新たな中期経営計画では期間を2026年3月期から2029年3月期までの4年間に設定し、計画期間中の営業利益CAGR目標を25~30%と、2022年3月期から2025年3月期までの営業利益CAGR21%に4~9ポイント上乗せした。この4年間で利益面のさらなる成長を示す具体的数値を投資家をはじめとするステークホルダーに提示した。なお、計画期間中もM&Aや成長投資を積極的に行う方針のため、営業利益の目標値は設定していない。
事業別の成長戦略として、マーケティング事業のうち美容マーケティング領域については、これまでのSNSマーケティングを軸としながらも、新規領域としてイベントプロデュース、ECモール運営、「TikTop Shop」運用支援、海外拡販支援の4領域を定め、業容拡大を図る。基本的には、従来どおり「取引ブランド数の拡大×1ブランド当たり受注額の向上」を推進し成長を目指す。取引ブランド数の拡大にあたっては、アイスタイルとの協業による新規ブランドの取り込みや美容カテゴリの拡大を当面の目標とする。前者については、既に韓国コスメブランドの日本国内でのマーケティング支援に乗り出しており、今後はアイスタイルの中国子会社と協業して中国コスメの日本国内での支援も計画している。韓国や中国のコスメは近年、日本国内において人気が高まっており、これら2国のコスメブランド各社は日本国内での市場拡大のためにマーケティングを強化している。同社はそれを商機と捉え、強みとするSNSマーケティング支援で取引関係を構築・強化し、業績拡大につなげる。後者については、美容家電や健康食品、美容目的の消費財にまで美容カテゴリの範囲を広げる。アイスタイルの運営する「@cosme」でも美容家電や美容グッズに関する情報を人気ランキング形式やクチコミ情報等で展開しており、同社はマーケティング支援等でビジネス拡大を狙う。
1ブランド当たり受注額の向上に向けては、既存のインフルエンサーマーケティングやMimi Beauty等に加え、新たなソリューションで拡充を図る。具体的には、イベントプロデュース分野における新規ソリューションとして、zenplusとの協業によるイベントとSNSとの連携(リアルとデジタルの融合)施策が挙げられる。また、しるしとの協業によるECモール運営支援や「TikTok Shop」運営支援では、SNSによるECモールへの送客スキーム確立が期待される。ほかにも、海外拡販支援事業としてアイスタイルとの連携や、Cosme Hunt Inc.との協業では米国での日本国内ブランド支援としてSNSマーケティングに関するノウハウ活用等の施策が挙げられる。これらの施策によって既存ブランドとの取引額を拡大させるほか、ソリューション力を梃子にした新規ブランドの開拓にも期待がかかる。なお、インバウンド需要取り込み施策も検討中である。
メディカルマーケティング領域については、当初計画からの遅れはあるものの、必要な投資を継続して2027年3月期の黒字化を狙う。事業領域としては毛髪再生と医療アートメイクに特化する点に変更はなく、集客等の事業運営面の効率化も並行して行うことで目標達成を目指す。同社の考えでは、目標達成は目指すものの、中長期的な事業方針については、中期経営計画の結果により判断する方針である。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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