人型ロボットの普及に合わせて株価上昇期待の中国株は(Getty Images)
中国経済に精通する中国株投資の第一人者・田代尚機氏のプレミアム連載「チャイナ・リサーチ」。関連記事《高成長が続く中国ロボット産業の最前線 宇樹科技の王興興CEOは「人型ロボット開発は1~3年後に臨界点に」実用化のために解決すべき課題とは》を踏まえて、人型ロボットの普及で恩恵を受ける中国株の個別銘柄について解説する。
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優必選科技(09880、香港上場)は2024年10月、人型ロボット“Walker S1”の販売を開始。現在、BYD、東風柳汽などの自動車組み立て工場に導入されており、生産ラインへの物資運搬、部品の組み立て、品質検査などに使われている。
今年4月には北京で人型ロボットによるハーフマラソンが行われ「天工Ultra」が優勝したが、その開発元は北京人型機器人創新中心(未上場)で、優必選科技の関連会社(持ち株比率28.57%)だ。
優必選科技の2024年における部門別売上高をみると、教育関連が28%、物流関連が25%、清掃、草刈りペット用といった消費関連が37%、介護などその他が10%。積極的に用途開発を行っているが売上の伸びはまだ小さい。2021年から2024年までの増収率を順に示すと10%、23%、5%、24%。投資先行で赤字継続、2024年の売上高が13億元であるのに対して純損失が11億元。2025年も大幅な赤字が続く見通しで現段階では黒字化の目途は立っていない。
もっとも、人型ロボットの実用化が急速に加速する臨界点が訪れるのは1~3年後といった見方もある。中長期の投資先としては注目したい銘柄の一つである。
その他の大手人型ロボットメーカーとしては、深セン市越疆科技(02432、香港上場)がある。ただ、春節聯歓晩会(春晩:NHK紅白歌合戦のような番組)で中国伝統の歌謡ダンスを披露し、知名度の高い宇樹科技は未上場企業である。また、家電大手の美的集団(00300)もロボット事業を手掛けているが、収益全体に占める割合は小さい。