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【注目トピックス 日本株】シーティーエス:今期17期連続で増収・15期連続で増益を目指す、配当利回り3%超え

*10:10JST シーティーエス:今期17期連続で増収・15期連続で増益を目指す、配当利回り3%超え
シーティーエス<4345>は建設業界向けのICTサービスを主力とする企業であり、建設現場の業務効率化と生産性向上を支援するソリューションを提供している。事業は大きくデジタルデータサービス(DDS)、測量計測システム(SMS)、その他事業に区分され、2025年3月期における売上構成比はDDS事業が62%、SMS事業が27%、その他が11%となっている。

DDS事業では「サイトアシストパッケージ」を中心にクラウドストレージやクラウド映像、コミュニケーションサービスを統合的に提供しており、建設現場の遠隔業務支援や作業分担を効率的に可能にする情報共有インフラを利用して生産性向上に貢献している。同サービスは、建設現場でのデータ共有・遠隔支援を可能にするワンストップサービスとして普及が進んでいる。SMS事業ではワンマン測量をはじめとした測量機器のレンタル・販売を手掛け、建設業界の省力化ニーズを捉えている。また、その他事業ではユニットハウスのレンタルや道路標示工事などを展開し、幅広い顧客基盤を確保している。同社全体のビジネスモデルはレンタルやサブスクリプションといったストック型収益を軸とし、導入コストを抑えつつ高いリピート率を実現している点に特徴がある。

競合環境においては、DDS事業ではクラウドストレージや遠隔支援アプリを提供するSaaS企業と一部領域で競合するが、同社はデータ保存から映像配信、通信までを統合する「ダッシュボード機能」を備えたサイトアシストパッケージによって差別化している。単品サービスを提供する競合他社と異なり、現場に必要な複数のICTサービスをワンストップで導入できる利便性が強みである。SMS事業では測量機器メーカーの代理店と地域ごとに競合するものの、同社はレンタル形態を強みとして全国展開が可能であり、利益率の高いビジネスモデルを構築している。そのほか、現在全国に31支店を展開しており、デジタル機器/測量機器管理センターにより全国でのレンタル提案を支援できる点も同社の強みとなっている。

業績面では、2026年3月期第1四半期の売上高は2,929百万円(前年同期比6.5%増)、営業利益は676百万円(同6.2%増)と、いずれも過去最高を更新した。DDS事業のレンタル・サブスクリプションサービスが堅調に拡大したことに加え、SMS事業においても販売・レンタルともに好調だったことが寄与した。販管費は人件費増加などで膨らんだが、付加価値の高いサービス拡大によって吸収。今期計画は売上高12,800百万円(前期比8.3%増)、営業利益3,300百万円(同7.2%増)を見込み、「サイトアシストパッケージ」の営業展開を軌道に乗せ、17期連続で増収、15期連続で増益を目指す。足元の進捗率は売上高22.9%、営業利益20.5%だが、同社はやや下期偏重の季節性を持つため計画通りの動きとなっている。

市場環境として、国内建設市場は資材価格上昇や人手不足といった課題を抱える一方、国土強靭化計画に基づく公共投資やインフラ関連需要が底堅く推移している。こうした中で、建設現場のICT活用やDX推進は加速しており、国土交通省が推進する「i-Construction2.0」や「ICT施工ステージ2」など政策的後押しもある。現場ではクラウド化が依然として進んでおらず、同社のようなクラウド対応のワンストップサービスの普及余地は大きい。さらに官公庁分野においても簡易型河川監視カメラや観光分野への展開が進み、建設市場に依存しない新たな収益機会の獲得が見込まれる。

今後の見通しとしては、DDS事業が成長ドライバーであり、サイトアシストパッケージの導入拡大によって安定的な成長が期待される。顧客基盤の裾野は全国の地場ゼネコン約2600社に広がっており、年間の最低元請施工現場数で10現場以上を見込める企業が対象となる。また、官公庁市場への開拓も広げ、中期的にはSaaS企業への進化を目指す方針を掲げている。一方でリピート率は直近57.8%と横ばい推移が続いており、90%を掲げる中計目標に向けて、現場代理人の人員流動性や顧客側の人手不足が背景であり、営業効率の改善や顧客との関係強化が今後の焦点となる。また、官公庁市場の開拓など、新規市場での展開が進めば中長期的な収益基盤の拡大に寄与するとみられる。

株主還元については、2026年3月期の年間配当予想を1株当たり28円(前年25円から増配)とし、14期連続での増配予想となる。2026年3月期までの中計期間では、累進配当方針を示している。直近株価が堅調に推移する中、配当利回りは3%超えの水準となっている。そのほか、ストック収益で安定的な収益と確保し、ネットキャッシュも37億円程度、ROE17%程度と財務基盤も安定している。業界の人手不足とDX化の遅れが進む中、顧客基盤の拡大とともに今後の持続的な成長に注目しておきたい。

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