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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】SFP Research Memo(3):2026年2月期中間期は食材費上昇等の影響を受け、増収ながら減益

*11:03JST SFP Research Memo(3):2026年2月期中間期は食材費上昇等の影響を受け、増収ながら減益
■SFPホールディングス<3198>の決算動向

1. 過去の業績推移
コロナ禍前(2020年2月期まで)の業績を振り返ると、店舗数の拡大が同社の成長をけん引してきた。特に、「磯丸水産」の出店が本格化した2010年9月期以降、業績の伸びが加速し、経常利益率も売上高の拡大に伴って大きく改善した。2013年9月期の経常利益率が目標とする8%を超えると、2015年9月期には11.7%にまで上昇し、その後も高い水準を維持した。2020年2月期末は「SFPフードアライアンス構想」の開始もあり店舗数は全業態で275店舗(2019年2月期末239店舗)及び売上高は40,216百万円(2019年2月期は37,751百万円)と拡大したが、以降は、コロナ禍の影響により売上高は2021年2月期で17,428百万円、2022年2月期は10,404百万円と大きく後退した。これにより不採算店舗の退店に取り組み、全業態の店舗数は2021年2月期末227店舗、2022年2月期末215店舗となった。アフターコロナにおいては国内消費の回復やインバウンド需要の取り込み等により、2025年2月期の売上高は30,389百万円、経常利益率は7.5%と、コロナ禍前の水準に戻ってきた。新たなステージに向けて地方都市への出店や注力業態の育成にも取り組んでおり、全業態の店舗数は2024年2月期が205店舗、2025年2月期が208店舗となった。

財務面では、2014年12月の東証2部への新規上場に伴う公募増資(約127億円)により、2015年9月期末の自己資本比率は76.8%に上昇し、その後もおよそ70%を超える水準で推移した。2021年2月期はコロナ禍の影響により親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことと、約90億円の運転資金の借り入れを実施したことで自己資本比率が一時的に低下したものの、2022年2月期末には77.3%とコロナ禍前の水準に回復した。2024年2月期は上場維持基準(流通株式比率)への適合等を目的とする自己株式の取得により自己資本比率が58.2%に低下したが、自己資本利益率(ROE)は17.1%と大きく改善しており、財務バランスは非常に優れていると評価できる。2025年2月期末の自己資本比率は62.5%に回復した。

2. 2026年2月期中間期の業績
2026年2月期中間期の業績は、売上高が前年同期比2.0%増の15,344百万円、営業利益が同5.3%減の858百万円、経常利益が同11.1%減の910百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同24.5%減の533百万円と増収ながら減益となった。

注力業態「五の五」が好調に推移したことが増収に寄与した。ただ、前期の40周年キャンペーンの反動に加え、地震予言の影響により訪日客が一時的に落ち込み、既存店売上高は前年同期比0.3%減とやや伸び悩んだ(8月には回復)。出退店については、新規出店4店舗、退店ゼロにより2025年8月末の店舗数は212店舗となった。

損益面では、コメ、生ビール、青果類等の価格上昇に伴い原価率が30.2%(前年同期比1.0ポイント上昇)に悪化したことや光熱費の増加などにより減益となった。原価増に対応するため、段階的なメニュー改定や価格の適正化※を図り一定の目途をつけたものの、増収不足により吸収しきれなかった。営業利益率も5.6%(前年同期は6.0%)に低下した。また、固定資産の減損損失62百万円を特別損失に計上した。

※ 2025年2月期第4四半期より開始したエリア別価格の導入など。

財政状態について目立った動きはなかったが、短期借入金の返済や配当金支払等により現金及び預金が減少し、総資産は前期末比3.3%減の13,503百万円に縮小した。一方、自己資本は利益剰余金の積み増しにより同2.6%増の8,961百万円となり、自己資本比率は66.4%(前期末は62.5%)に改善した。

3. 四半期業績の推移
2026年2月期第1四半期の売上高は前年同期比1.0%増の7,751百万円、営業利益は同2.6%減の593百万円、第2四半期の売上高は同3.1%増の7,593百万円、営業利益は同10.9%減の264百万円となった。

売上高は第1四半期、第2四半期ともに前年同期を上回った。ただ、第2四半期については地震予言による影響を受けるなかでプラスを維持したものの、想定よりも伸びが足りなかったようだ※。損益面では第1四半期、第2四半期ともに原価率が30.2%と高止まり、前年同期の営業利益を下回ったが、段階的なメニュー改定等により原価率上昇に一定の目途をつけている。

※ 昨年は大型台風の影響があったため、その分の伸びしろを見込んでいた。

4. 2026年2月期中間期の総括
2026年2月期中間期を総括すると、1)食材費の上昇や2)光熱費の増加など厳しい収益環境が続くなかで、3)6~7月には訪日客の一時的な落ち込みが重なり、特に利益面でやや出遅れ感のある進捗となった。ただ、1)については段階的なメニュー改定等により一定の目途をつけ、2)は想定内、3)についても8月以降は回復していることから、少なくてもダウントレンドにあるわけではないと弊社では見ている。したがって、第3四半期以降、いかに既存店の伸びと原価率改善によりキャッチアップを図るかがポイントになるだろう。一方、注力業態「五の五」が期待どおり好調に推移していること、出店計画についても下期予定分を含め、順調に進んでいるところは明るい材料である。特に「磯丸水産」による地方出店や「五の五」による出店加速シナリオが具体的に見えてきた点は大きな前進と言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

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