御手洗冨士夫氏(右)の後を継ぐのは“国際派”の小川一登氏(=左。時事通信フォト)
長きにわたって名物経営者が率いた企業の経営を継ぐことは簡単ではない。特に注目されるのがキヤノンだ。
1月29日、御手洗冨士夫・会長兼社長CEO(最高経営責任者)が社長職から外れ、小川一登・副社長(67)が新社長に就任する人事を発表した。キヤノンの業績は好調で、2026年12月期の連結業績予想では売上高が4兆7650億円と過去最高となる見通しだ。ただ、経団連会長も務めた御手洗氏は昨秋90歳となり、後継者選びが急務だった。経済ジャーナリストの森岡英樹氏が指摘する。
「株主総会における経営陣の信任率が50%を切ると不信任になりますが、2023年のキヤノンの株主総会では、御手洗氏の信任率が50.59%とギリギリの水準になっていた。約30年の長きにわたり御手洗氏が経営トップであることや女性取締役がいなかったことなど、ガバナンスが問題視された。御手洗氏はこの数字を非常に気にかけ、後任選びが本格化した経緯があります」
重責を担う新社長たちの経歴
御手洗氏だけでなく、キヤノン経営陣の高齢化という問題があったと森岡氏が続ける。
「今回の人事では、御手洗氏を長く支えて『トロイカ体制』を築いていた85歳の田中稔三・最高財務責任者と76歳の本間利夫・最高技術責任者も副会長に退きます。小川新社長も67歳という年齢ではありますが、とにかく経営の舵取りを下の世代に渡していくことが求められる状況にありました」
社長の重責を担う小川氏は早大文学部卒業後の1981年にキヤノンに入社。以降の29年間をシンガポール、香港、中国、米国などの海外拠点で過ごした国際派だ。

