*11:05JST トヨクモ Research Memo(5):有償契約数、チャーンレート、LTVを重要視
■トヨクモ<4058>の事業概要
2. ビジネスモデル
同社が提供するサービスはクラウドサービスであるためオンラインで申し込みから利用まで完結する。そのため、同社の営業社員が訪問することなく、サービスの導入が可能となっている。なお同社は、顧客が「簡単」「便利」に使えるサービスの提供にこだわりがあり、問い合わせを受けた企業に無料の試用期間を提供し、その期間中に顧客の担当者が自ら操作を習得できるよう工夫している。そのため同社の営業社員が訪問して説明を行うことなく、必要に応じて電話サポートやホームページのFAQを利用するだけでサービス導入が可能となっている。また個別にカスタマイズを行わないため、同社にとってサポートの負担も少なく、間接コストを最小限に抑えた効率的な事業運営により、安価なサービスの提供を実現している。
同社のサービスは利用期間に応じて料金が発生するため、有償契約数の増加により、継続的に収益が積み上がるストック型のビジネスモデルである。流行に左右されないサービスであるため継続して利用されやすく、チャーンレート(年間平均解約率)が低いことも特長である。サービスの販売は、同社に直接申し込みをした顧客に販売する直販が主流であるが、代理店等の販売パートナーを通して販売する場合もある。
同社が重要視しているKPIには、「有償契約数」「チャーンレート」「LTV」がある。
(1) 有償契約数
2025年12月期末の有償契約数は前期末比14.4%増の19,699件となった。内訳は、安否確認サービスの契約数が同13.8%増の4,753件、kintone連携サービス等の契約数が同14.6%増の14,946件となった。安否確認サービスとkintone連携サービス等ともに、2ケタ成長を維持しているが、有償契約数の伸び率は鈍化傾向である。
(2) チャーンレート
チャーンレートは年間平均解約率を表し、12ヶ月間の契約金額と解約金額の平均から算出している。2025年12月期末における同社単体での金額ベースのチャーンレートは0.83%であり、1%以下の低水準で推移している。kintone連携サービス等は地方自治体からのスポット案件等もあり、チャーンレートは期によって多少の変動は見られるがおおむね安定している。
(3) LTV
同社は顧客生涯価値(LTV:Life Time Value)も重要な指標としている。LTVとは、顧客から将来にわたって得られる収益であり、月次経常収益(MRR:Monthly Recurring Revenue)をチャーンレート(金額ベース)で割って算出される。
LTVの算出については、同社のチャーンレートがもともと1%未満と非常に低いため、短期的なチャーンレートの若干の変動が与える影響が大きい点を考慮する必要がある。個別サービスのLTVの合計値(kintone連携サービス等のLTV、安否確認サービスのLTV、NotePMのLTV)は、2024年12月期に600億円に達して以降も、上昇基調を続け、2025年12月期第3四半期には800億円に達した。
チャーンレートの低さと効率的な販売体制が強み
3. 強み
同社の強みは、「チャーンレートの低さ」と「効率的な販売体制」である。同社のチャーンレートは0.83%で、全体平均で1%を下回る水準で安定している。同社のサービスは、継続的な売上が見込めるストック型のモデルであることが同社の経営基盤の強化につながっている。提案営業は行わずノンカスタマイズでソフトウェアを提供しているため、1契約当たりの獲得コストは低く抑えられている。案件の発掘は、ネットプロモーション・広告・イベント出展で行うことが多い。その後、見込み客がホームページに来訪してサービスの試用を行い、契約を締結する流れである。契約後のサポートについては、ホームページの内容を充実させていくほか、電話やメール等で効率的に行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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