*12:08JST クオールHD Research Memo(8):2027年3月期はすべての事業で増収増益を目指す(2)
■今後の見通し
(3) 製薬事業
クオールホールディングス<3034>の製薬事業の売上高は前期比13.8%増の112,662百万円、営業利益は同29.5%増の9,012百万円を見込む。薬価改定により約3%の価格下落の影響を受けるものの、2025年12月に発売した前立腺癌治療剤「アビラテロン酢酸エステル錠」や2026年3月に発売した抗血小板剤「プラスグレル錠」及び「プラスグレルOD錠」がフルに寄与するほか、2026年6月に発売したアレルギー性疾患治療剤のAG製品となる「ビラスチン錠(先発品名 ビラノア(R)錠)」及び「ビラスチンOD錠(同 ビラノア(R)OD錠)」や、7月に発売した2型糖尿病を対象とした選択的SGLT2阻害剤のGE製品である「ダパグリフロジン錠(同 フォシーガ(R)錠)」が売上貢献することで2ケタ増収となる見通し。
先発品の市場規模が500億円程度と比較的大きい「アビラテロン酢酸エステル錠」については、先発品からの置換率が前期末で5割程度と見られ、今後は置換率の上昇により同社の販売シェアも拡大していくことが予想される。後発品は同社含めて6社で販売しているが、AG製品は同社のみであるためだ。また、糖尿病治療剤となる「ダパグリフロジン錠」も先発品の市場規模が800億円程度と大きいが、同社を含めて7社が後発品(うちAG製品1社)を発売するため、市場シェアで1割程度を目指す。
営業利益率が前期の7.0%から8.0%に上昇する要因の一つとして、仕入コストの低減が挙げられる。第一三共エスファが10年前に導入契約を締結した主力製品の契約更新に向けた協議において、従来よりもコストを低減する方向でほぼ妥結することができた。引き続き販管費の抑制などにも取り組む方針だ。なお、サプライチェーンの効率化に向けて現在、次世代物流システムの開発を進めており、2028年3月期の導入、運用開始を目指している。同システムの導入により商品回転率の向上や物流費の低減が見込まれ、収益性も一段と向上するものと期待される。
なお、2026年度の薬価改定においてAG製品の価格政策が大きく見直された。具体的には、2026年10月以降に新規薬価収載されるAG製品については、先発品と同額になることが決まった。既存AG製品の価格は変わらないため、短期的な業績への影響はないものの、今回の方針決定によりAG製品の価格面での優位性が無くなるため、AGによる新製品の開発は実質、終了することになる。今後の事業戦略としては、既存AG製品のシェア拡大により獲得したキャッシュをGE製品の導入・開発や体外診断キットの開発、藤永製薬における製造ラインの更新投資や新製品開発投資などに振り向け、更なる成長を目指すことになる。
大型投資を実行し、2030年度に売上高5,000億円、営業利益350億円を目指す
2. 中期経営計画
同社は2031年3月期までの中期経営計画の詳細を発表した。グループの「総合力」を結集して健康・医療の社会課題解決(質の高い医療サービスの提供)と経済的価値追及(収益成長)を両立し、2030年のありたい姿「すべての人に、医療の安心を届ける存在へ」の実現と企業価値の向上を目指す。
2031年3月期の経営数値目標として、連結売上高5,000億円、営業利益350億円、ROE15%を掲げた。売上高は年平均成長率で11%程度を見込み、2026年3月期比で1.7倍に、営業利益は同2.4倍に拡大する。ROEについては2026年3月期の12.9%から2ポイント程度引き上げる目標で、収益性の向上に加えて資本効率の向上(株主還元を含む)も意識した経営を進める。
成長シナリオは、既存事業の拡大と今後実施する大規模投資(大型M&A、製品導入など)による効果の2つに分けて計画している。今後5年間で既存事業の売上高を420億円、営業利益を66億円上積みし、大型M&Aや製品導入など大規模投資によって売上高1,780億円、営業利益130億円を創出する。キャッシュアロケーションについては、キャッシュ・インとして5年間累計で営業キャッシュ・フロー1,440億円を創出し、キャッシュ・アウトとして、成長投資(大型M&A・製品導入等)に770億円、既存事業への投資で480億円、株主還元に190億円を振り向ける。このため、業績目標達成のカギを握るのは、大型M&Aや製品導入などを実現できるかにかかっている。大型M&Aについては現在、薬局事業において交渉を進めている段階にあり、製薬事業では大型GE製品の創出に向けて、先発品メーカーとの交渉を進める。
各事業の成長戦略として、「深化(これまでの成長戦略をより深掘りし追求する)」と「進化(セグメント間シナジーの最大化、幅広い接点を有する強みを新たな成長ドライバーに育てる)」をテーマに取り組みM&Aも含めた積極的な成長投資を実施することで、3つの事業すべてで拡大を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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