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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】小田原機器:ワンマンバス用運賃箱で国内シェア約4割、キャッシュレス化と交通DXが追い風

*10:37JST 小田原機器:ワンマンバス用運賃箱で国内シェア約4割、キャッシュレス化と交通DXが追い風
小田原機器<7314>は、路線バス用の運賃箱・運賃表示器・整理券発行機などの運賃収受機器と、マルチキャッシュレス決済端末の開発・製造・販売を手掛ける車両用運賃収受機器メーカーである。1950年に富士写真フイルムの協力企業として発足した小田原鉄工所を前身とし、1960年代の路線バスのワンマン化を捉えて運賃収受機器に参入、1979年に分社設立された。ワンマンバス用運賃箱では国内シェア約40%を握る最大手であり、名古屋市交通局や神戸市交通局などの公営交通から、神奈川中央交通やジェイ・アール北海道バスなどの民営事業者まで、日本全国の地方自治体・バス事業者への納入実績を持つ。開示セグメントは、運賃収受・キャッシュレス決済事業(2025年12月期売上高構成比87%)、データサービスソリューション事業(同2%)、技術サービス事業(同11%)と3区分で、保守・施工のオーバルテック、システム開発のソタシステム、システム開発・プリント基板開発のアズマの3子会社を擁する。

同社の強みは、第一に、シェア4割を裏付ける運賃収受の技術蓄積である。1971年に投入硬貨を両替用種銭として再利用する「循環式運賃箱」を他社に先駆けて開発し、紙幣判別技術を応用した紙幣自動両替機付運賃箱など、現金・硬貨・カード処理に特化した技術を積み上げてきた。第二に、キャッシュレス対応の先行である。IC・QRコード・クレカタッチの3決済を1台で処理するマルチ決済端末「BOSS」を2022年に発売し、沖縄八重山エリアのフェリーなどバス以外の交通モードへの導入も始まっている。第三に、全国の自治体・バス事業者との長期取引関係と保守網である。競合はバス機器大手のレシップホールディングス<7213>であり、成熟市場において両社による寡占構造が続く。顧客であるバス業界は、2024年問題や運転手不足で路線廃止が続く厳しい環境にあるが、国は交通DX支援を拡大しており、国土交通省は完全キャッシュレスバスの実証運行(28事業者44路線)を推進している。現金決済需要の漸減とキャッシュレス更新需要の拡大は、同社にとって構造変化と商機の両面をもたらしている。

2026年12月期第1四半期は売上高1,220百万円(前年同期比37.0%減)、営業利益68百万円(同22.6%減)で着地した。2026年12月期は売上高6,962百万円(前期比9.3%減)、営業利益149百万円(同3.9%減)と減収減益を見込んでいる。大型案件を前期に完遂し、2027年以降に立ち上がる関東圏の機器更新需要までの端境期に当たるためで、減収を見込む一方、ものづくり改革や標準化の推進により、売上高総利益率を改善させていく。これを原資に、中期経営計画「ONG2030」における持続的成長に向けて、技術力強化や新規領域の創出、DX投資などを計画に織り込み、2025年12月期と同水準の利益を確保していく。8月7日発表予定の第2四半期決算と受注残の消化状況が当面の焦点となる。

2026年2月公表の新中期経営計画「ONG2030」では、2030年度に売上高100億円(基盤領域90億円・新規領域10億円)、営業利益5.6億円(売上高営業利益率5.7%)、売上高総利益率30.8%を掲げる。基盤領域では次世代乗降システム・次世代マルチ決済端末の投入による業界シェア拡大、新規領域ではデータサービスソリューションの事業化を成長ドライバーとし、5年総額23億円(新規領域12億円・基盤領域11億円)の成長投資を計画する。デジタルバス停システムとダイヤ作成支援システムは国土交通省「交通空白解消に向けたパイロット・プロジェクト第4弾」に採択され、実証から収益化への移行を進める段階にある。注目すべきは2026年7月にジェーシービー・りそなホールディングスと締結した「UWB決済に関する協業覚書」である。スマートフォンを取り出さずに乗降・決済が完結するハンズフリー決済の実用化に向け、同社は国際標準化団体FiRa Consortiumに参画し、2026年度の実証実験、2028年度の本格導入を目指す。実現すれば、運賃収受機器メーカーからの進化を示す試金石となろう。生産面では新基幹システムを稼働させ、製番方式からMRP方式への移行、仕様標準化による部品共通化・在庫削減を進めるほか、関東圏更新需要を見据えた金型投資・工場取得を含む設備投資を計画している。

株主還元については、2025年8月に配当方針を「配当性向40%・DOE3.0%・1株あたり15円のいずれか金額の大きいもの」へ引き上げた。2025年12月期は前期比12円増配の年40円(配当性向132.0%)、2026年12月期も40円(同150.5%予想)を予定しており、DOE基準を軸とすることで減益局面でも利益水準を超える配当を維持する姿勢を鮮明にしている。直近配当利回りは3%を超えるなか、同社は株主優待も展開している。QUOカード贈呈(100株以上2,000円〜500株以上4,000円相当、継続保有2年以上で1,000円相当を加算)を実施しており、優待込みの総合利回りは100株保有で4%台後半に達する。財務面では、2025年に大型案件完遂に伴いたな卸資産を約18億円圧縮して有利子負債を24億円返済し、自己資本比率は42.0%から57.0%へ大きく改善した。

総じて、小田原機器は、ワンマンバス用運賃箱シェア約4割という安定した事業基盤の上に、バス業界の完全キャッシュレス化・交通DXという構造変化を成長機会として取り込もうとしている局面にある。業績は大型案件や特需の有無による変動が大きく、2026年12月期は更新需要の端境期で減収を余儀なくされるが、売上高総利益率の改善が計画通り進めば「稼ぐ力」の底上げが確認でき、2027年以降の関東圏更新需要の取り込みとONG2030の成長シナリオに繋がる。PBRは1倍前後、ROEは2.3%と資本効率の改善は道半ばであり、DOE3%を軸とした株主還元の持続性とともに、利益率改善の進捗を見極めたい。JCB・りそなグループとのUWB決済の事業化やデータサービスの収益化など新規領域の動向含め、中長期的な成長持続に注目しておきたい。

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