*13:38JST スカラ Research Memo(8):2028年6月期の営業利益目標1,100百万円の達成に向け順調に進捗
■今後の見通し
3. 中期経営計画
(1) 中期経営計画の概要と業績目標
スカラ<4845>は2026年6月期から3ヶ年の中期経営計画をスタートしている。事業ポートフォリオマネジメントの強化を通じた主力事業の成長力強化を図りつつ、収益性や効率性を重視しながらさらなる利益成長を目指す方針だ。業績目標として、2028年6月期に売上収益11,800百万円、営業利益1,100百万円を掲げた。2027年6月期以降、2期間の年平均成長率は売上収益で17.6%、営業利益(Non-GAAP)で44.3%となる。営業利益率(Non-GAAP)はM&A費用の計上もあって2026年6月期に6.2%と一旦落ち込んだものの、2027年6月期以降は上昇に転じ、2028年6月期は9.3%を目指す。営業利益の成長率が大きくなるが、既述のとおり2026年6月期はM&A関連費用が膨らんだことで利益水準が落ち込んだことに加え、2027年6月期以降はM&Aによるシナジー効果もあって高い利益成長が見込まれる。
全社戦略として、5つの重要テーマ(新たな価値の創出、成長機会の提供、ベストマッチの実現・リスキリング促進、デジタルデバイドの解消、AI技術向上と倫理的利用の両立)を特定し、事業会社ごとに策定した事業戦略を推進することで、これら重要テーマに取り組む方針だ。
(2) 主要3事業の業績目標と事業戦略
a) DX事業
DX事業では、2028年6月期に売上収益6,340百万円、営業利益620百万円を目標に掲げている。年平均成長率は売上収益で19.8%、営業利益で17.8%となる。このうち、SaaS事業におけるMRRは、2028年6月期第4四半期時点で2.5億円を目標としていたが、2026年6月期第4四半期で2.3億円と目標達成に向け順調なペースとなっている。
事業戦略として、スカラコミュニケーションズでは主力サービスである「iシリーズ」のアップセルを意識した機能追加(音声連携、検索最適化、レポート機能強化)やAIエージェント機能の実装による高付加価値化を推進することで差別化を図り、MRRを積み上げていく。また、医療・不動産・畜産など専門業界に特化したアライアンス型SaaSビジネスの拡大や、業界別BPaaS※モデルを確立し事業領域の拡大を目指す。さらに、マーケティング能力の強化やAI人材の採用・育成、新規サービスの開発やエッグとの協業による「行政連携SaaS群」の商品化も推進する。エッグについてはストック型ビジネスモデルへの転換を図り、収益の安定性向上と経営基盤の強化を進めていく。
※ Business Process as a Serviceの略。特定の業務プロセスをクラウド上で提供するサービス。単に人手による業務代行ではなく、SaaSなどのクラウドプラットフォーム上で業務を遂行する点が特徴。顧客企業は自社でのシステム構築・運用や専門人材の確保といった負担を負うことなく、必要な業務プロセスをクラウドサービスとして利用できる。特に、バックオフィス業務で普及が進んでいる。
b) 人材事業
人材事業では、2028年6月期に売上収益1,930百万円、営業利益280百万円を目標に掲げている。年平均成長率は売上収益で30.8%、営業利益で29.9%となる。2027年6月期までは人材投資やエリア拡大など成長のための投資を積極的に行い、その効果が2028年6月期に顕在化する計画となっている。
アスプラは、人員体制の強化を図るとともに事業拠点の新設によりサービスエリアを拡大し、対象となる会員(就活生)・企業数を広げていくことで事業成長を目指す。会員獲得に向けて、Webマーケティングの強化も進めていく。人材紹介事業については、成約率向上のための各種マニュアルの更新や社員教育だけでなく、社員の定着率向上を図るための人事制度の見直しなども進める。GeaREmakeでは、強みとなる紹介先企業の特定と、集客用のサービス開発、人的リソースの増強を進めていく。
c) TCG事業
TCG事業では、2028年6月期に売上収益3,260百万円、営業利益500百万円を目標に掲げている。年平均成長率は売上収益で7.8%、営業利益で19.0%となるが、同目標値にはHATOの業績が含まれていないため、業績目標値は上振れする可能性が高い。
事業戦略として、発送業務に一部適用しているAI画像認識ソリューションの精度を高め、目視で行っている買取査定・真贋判定プロセスを自動化することで生産性の向上を図る。そのほか、HATOをグループ化したことでリアル店舗の出店を拡大していくほか、周辺グッズを販売していくことで事業規模の拡大を図る。また、卸売会社向けに自社開発した業務システムのSaaS展開を図るなど、収益の多様化にも取り組んでいく。
d) インキュベーション事業
インキュベーション事業については業績目標を設定していないが、ソーシャル・エックスを通じて「ソーシャルXアクセラレーション」や「逆プロポ」といった共創案件を多く手掛けることで、DX事業の商機拡大につなげていく。また、同社のM&A支援サービスでは、M&A後のバリューアップ戦略としてグループリソースを最大限活用する共創体制を確立していく。なお、自社のM&Aについても主力事業であるDX事業や人材事業、TCG事業でシナジーが見込める企業を対象に引き続き検討していく方針で、1社当たりの投資額としては5~10億円を目安としている。TCG事業については将来的にトレーディングカード業界にとどまらず、事業エリアをエンタメ領域へと広げていくことを見据えており、そうした企業も対象となる。
(3) 人的資本の取り組み
同社は、人が最大の財産かつ成長の原動力であり、価値創造の源泉であると認識している。中期経営計画を推進する経営基盤として、人材価値の最大化に取り組む方針だ。
人材戦略の最重要項目は「事業戦略に即した人事制度・人材育成」である。事業戦略に基づく人材ポートフォリオを充足するため、採用を強化すると同時に、社員の能力・スキルを可視化し、向上を図っていく。また、社員の能力スキルの向上につながる機会を提供するほか、成果に適切に報いる「処遇・評価制度」の導入も順次進めている。
2026年6月末の連結従業員数は429名で前期末比21名の増員となった。今後はDX事業及び人材事業を中心に新卒採用を含む人材投資を加速させ、経営基盤の体制を強化していく計画だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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