近年、メディアでしばしば取り上げられるようになった「毒親」という単語。これは、虐待、ネグレクト、過干渉など、子どもに悪影響を与える親を表す言葉だが、子どもにとってストレスの対象となる家族は親ばかりとは限らない。埼玉県在住のAさん(40代/男性)にとって、2人の姉はまさに“毒姉”だった。
「我が家は姉2人と私の3人姉弟。両親は待望の男の子の誕生に喜んだようで、幼い頃から私は特別扱いされて育ちました。小学校から私立に通い、高校時代には海外留学も経験。大学も私立に通い、運転免許を取った時には車も買ってもらいました。ただ、姉とはとにかく折り合いが悪くて……」(Aさん。以下「」内同)
末っ子長男が可愛がられるのはA家に限らずよくある話かもしれないが、Aさんが幸せだったかといえば、それはまた別の話だ。彼を妬んだのか、2人の姉はAさんに徹底的にキツくあたった。
「上の姉とは7歳、下の姉とは4歳離れていますが、姉に優しくしてもらった記憶は皆無。姉がファミコンを買った時に、私はまったく触らせてもらえず、姉の背中越しにテレビ画面を見ていたような記憶しかありません。
たまに親戚が遊びに来ると、私もゲームに混ぜてもらえますが、手加減を一切してくれないので、私は必ずビリで、いつも泣いていました。すると、『泣いた、泣いた』と囃し立てられ、益々泣くという悪循環です。
何かといえば、『あの時、お漏らしをした』だの『迷子になって泣きべそをかいた』だの、小さい頃の話を持ち出されますし、少しでも言い返せば『子供のくせに』『生意気だ』でおしまい。何かを尋ねれば『そんなことも知らないの?』。本当に苦痛でした」