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亡くなる前に銀行口座情報等の家族共有を 賢い「デジタル相続」のやり方

書面で残さなくても、家族クラウドで手軽に共有できる時代に(イメージ。Getty Images)

書面で残さなくても、家族クラウドで手軽に共有できる時代に(イメージ。Getty Images)

 配偶者が亡くなった時のお金の問題。最近は、夫婦それぞれが複数の銀行口座を持っている家庭も少なくないだろう。その一方で、生活費など家族のための口座はわかっていても、それ以外の口座がいくつあるか、どの銀行にどれだけ預けているかをお互いに把握している夫婦は少ないかもしれない。

 かつては、「亡くなった夫の銀行口座が凍結されてお金が引き出せなくなった」というケースも多かった。しかし、2019年7月にスタートした「預貯金の仮払い制度」により、一時的に150万円までは引き出せるようになった。それでも、名義人が亡くなれば口座が凍結されることに変わりはなく、150万円以上は凍結された口座に入ったままになる。

 遺産分割協議がうまくいかずに相続で揉めてしまった場合も、150万円を超える額については、いつまでもお金は引き出せないままなのだ。ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の井戸美枝さんが話す。

「口座の名義人が亡くなると、その口座のお金は相続財産扱いになります。口座の解約には、相続人全員で話し合ったうえで、相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書などの書類が必要です。しかも、銀行によっては解約手続きに予約が必要なこともある。解約するなら早いうちに本人がしておくべきでしょう」

 特に気をつけたいのがネット銀行だ。ネット上での取引なので紙の通帳もなく、銀行からの通知はがきなど、手がかりになるものが届かないこともあり、見逃しも多い。IDやパスワードがわからなければアクセスすることすら不可能だ。

「銀行名、支店名、口座番号、IDとパスワードなどは、すべて夫婦で共有すべきです。そのうえで、最善策は、元気なうちに銀行口座を最低限必要なものだけに絞って減らしておくこと。口座の解約は生きている間は原則、本人にしかできません。また、クレジットカードも同様に、夫が元気なうちに要不要を精査して整理しておきましょう」(井戸さん・以下同)

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