新型コロナウイルスの感染拡大により、大学生の就職活動事情にも大きな影響が出ている。多くの企業がオンライン説明会やオンライン面接を行うなど、就職も「新しい生活様式」へと様変わりしている。一方で、コロナ禍が業績を直撃し、新卒採用を抑制したり、採用そのものを見送る企業も出るなど、当事者たちにとって就職戦線の厳しさは予想以上のものとなっているだろう。
コロナの影響は、具体的にどのようなかたちで現れているのだろうか。都内の市立大学に通う男子学生・Aさん(2021年卒)は、すでに内定を得た友人と自分を比較し、抑うつ的な状況になったと語る。
「昨年の就職活動で内定していた企業から、業績不振を理由とする『内定取り消し』の連絡がありました。就職活動は強気の姿勢で、自分に興味のある職種だけを狙っていたので、他に内定はありませんでした。幸いなことに、親の理解もあって、留年させてもらえることになったので、もう1年頑張ろうと思います。
ただ留年よりも辛いのは、同級生たちのSNS投稿ですね。同じ学部の子たちは、インスタのストーリーなどで『内定ゲット!』『内定、○社目』などと投稿するので、それが嫌でも目に入ってしまう。大学キャンパスで顔を合わせる機会が減った分、友人の近況はSNS投稿で知ることが多くなりました。そればかりに気を取られてしまって、結局自分を追い詰めてしまった感じです」(Aさん)
すでに2022年度卒の就職活動もスタートしている。オンラインでの企業説明会や、インターンシップ、自己分析などを始めている学生も多く、多くの企業で2021年3月から説明会やエントリーシートの提出が始まる予定だ。
関西の私立大学に通う男子学生・Bさん(2022年卒)は、昨年からインターンシップに参加するなど積極的に就活をスタートさせているが、コロナによって思わぬ壁が立ちはだかっているという。
「僕が通う大学は、いわゆる地方のFランと呼ばれる大学です。スポーツ推薦で入学しました。正直、自分が勉強できない方であることは自覚しています。ただ、コロナ以前は部活漬けだったし、そこでリーダーシップも取ってきた。友人も結構多いので、コミュニケーションには自信がある。就活には向いているかなと思っていました。