定年後は、「会社を離れた人間関係」が中心となる。だが、会社を離れた孤立感から“友達を作らなければ”と焦って、思わぬトラブルに見舞われるケースは少なくない。都内の戸建てに妻と2人で暮らす73歳男性は、日課の散歩中に知り合ったA氏(68)とのトラブルを明かした。
「世間話をするようになったのが2年前。現役時代は建築関係の会社を経営していたそうです。そのうち時々、酒を飲む間柄になりました」
自宅の老朽化を話題にしたのが発端だった。
「『見てあげる』と言うのでお願いすると、リフォーム会社を経営するAの息子ら作業服姿の数人がやってきた。家中を点検した挙げ句、『外壁、水回りに難あり』と、修繕の話を進め始めました」
驚いた男性が丁重に断わると、「参考までに」と譲らない。A氏の息子から後日送られてきた工事の見積もり金額は700万円。別の業者をあたると同じ工事が3割も安く済むと判明した。
「そのことをAに伝えると、態度を豹変させ『善意でやってるのに、なんだ!』と凄んできた。それ以来連絡を断ち、散歩コースも変えました。いま思えば、最初から商売目的で近づいてきたような気もする。この歳で人間不信になりました」
都内在住の71歳男性は、健康ランドで出会ったB氏(76)と話が弾み、自宅に呼ぶ仲になった。
「長い時間を一緒に過ごすうちに、話が支離滅裂だったり、トイレを汚したり、Bの様子が時々おかしいと気がつきました。ある日、一緒にいた私の妻に突然、えらい剣幕で食ってかかったんです。それを機に距離を置いたのですが……」
数か月後、B氏の妻から男性に電話があった。
「奥さん曰く、『主人が××さんに貸したお金が返ってこないと言っている』と。全く身に覚えのないことで、驚きました」