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「介護休業給付」「傷病手当金」…仕事を辞める前に活用しておくべき制度

退職前に使える制度がないかチェックしておきたい(イメージ)

退職前に使える制度がないかチェックしておきたい(イメージ)

 正社員に限らず、パートやアルバイトでも、仕事を辞めるとき、「辞め方」次第で損をしてしまうこともある。たとえば、「離職票」という書類を受け取らなかったがゆえに、失業保険の受給が遅れることもある。また、パートやアルバイトでも「有給休暇」がもらえるということはあまり知られておらず、有給休暇を消化せずに退職してしまうケースも多いようだ。

 未払いの残業代が合った場合、それをしっかり請求することも重要だ。KTG湘南藤沢法律事務所の弁護士・山口裕哉さんが説明する。

「残業代の未払いについては、過去3年分まで請求ができます。タイムカードの記録やスケジュール帳に記録した日々の出勤・退勤時間、交通系ICカードのデータなどが証明になります。とはいえ残業代の計算は非常に細かい作業で、自分ひとりでやるのはかなりの負担です。弁護士に依頼してもおよそ60万~70万円かかってしまうので、法テラスに相談するのも手です」

 辞めること自体を再検討した方がいい場合もある。社会保険労務士法人・岡佳伸事務所の岡佳伸さんは、こう話す。

「介護離職する人が多いですが、即座に離職するのはもったいない。雇用保険の『介護休業給付』制度として、93日間は給与の3分の2が支給されます。その制度を使ってなお、離職せざるを得ない状況なのであれば辞めればいい。辞めてしまった後だと申請できません。

 同様に、体調不良で勤務が困難な場合も健康保険に加入しているなら『傷病手当金』の制度があります。支給を開始した日から通算で最長1年半、傷病手当金が支給されます。この制度も辞めてしまうと活用できない。もし仕事を辞めるほどの体調不良になったら、まずは病院に行って診察を受けてください。病気であれば傷病手当金を申請できます」

 傷病手当金の支給中に退職した場合は、退職後も継続して受給することができるが注意も必要だ。湘南SRオフィス代表で社会保険労務士の中山大輔さんが続ける。

「傷病手当金の継続給付には『退職時に傷病手当金の支給を受けていること』という要件があり、退職日に出勤すると継続給付を受けられなくなる。退職日に有給休暇取得や挨拶のために出勤すると、継続できなくなる場合があるので注意が必要です」

 理不尽な目にあったからといって感情のまま退職してしまうと、のちのち困ったり、損をすることになる。いったん心を落ち着かせることも大切だ。

※女性セブン2023年3月30日・4月6日号

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