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“圧倒的な実家感”が魅力で女性客増加中の『スナック』 「いいお店は新規客や女性客にやさしい」傾向

スナックは“ママやマスターの部屋”と心得よう。何度通ったとしても「いまから入れます?」と声をかけるのが客としての気遣いだ(写真は五十嵐さん)

スナックは“ママやマスターの部屋”と心得よう。何度通ったとしても「いまから入れます?」と声をかけるのが客としての気遣いだ(写真は五十嵐さん)

いいお店を見極めるポイント

 五十嵐さんに話を伺った店は、彼女が常連だという東京・日本橋のスナック『加悦』。五十嵐さんが、「こんばんは! ママ元気?」と扉を開けて入っていくと、ママの公子さん(70代)も笑顔で、「あら、こんばんは」と出迎えてくれた。

 五十嵐さんが席に座ると、勝手知ったるといった様子でママが水割りを用意してくれる。そしてお菓子やサンドイッチ、煮物などを並べてくれた。その風景はまるで、実家を訪れたときのよう。

「至れり尽くせりでしょ? この圧倒的な“実家感”もスナックの魅力。大人だからこそ、誰かから世話を焼かれると、心がほぐれるんです」

 大人になると、特に女性は、料理も飲み物の準備も自分でしなければならないことが多い。しかしここでは、ママがお世話をしてくれるわけだ。

「加悦もそうですが、いいお店は新規客や女性客にやさしい。そういう店には、自然とその店の雰囲気に合った人が集まるので、常連さんもやさしい。ここを見極めるのがいい店選びのポイントになると思います」

 コロナ禍を経て、おしゃべりや人との一体感を求める人は多く、加悦にもここ最近、新規客が増えているという。

「先日も夕方から40代の女性がひとりでお見えになって、“すぐ帰ります”と言いつつ、終電までいたことがありました」(公子さん)

 その女性は、家族や仕事のことを話し、心が軽くなった様子で帰っていったという。

「たわいもない話だけど、家族や友人、仕事仲間にはできない話ができるのもスナックの醍醐味なんですよね」(五十嵐さん)

【プロフィール】
中丸謙一朗/1963年生まれ。昭和文化研究家、日本民俗学会会員。雑誌編集者を経て独立。昭和の風俗や観光に関するコラムを寄稿。著書に『ロックンロール・ダイエット』(扶桑社文庫)ほか。

五十嵐真由子/スナック探訪家、PRプランナー。日本全国約550店舗のスナックを巡る。全国100以上のスナックが加盟し、自宅でもスナック時間を楽しめる『オンラインスナック横丁』を主宰。初心者や外国人向けにスナックツアーなどのイベントも行う。

撮影/楠聖子

※女性セブン2023年7月20日号

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