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賃貸アパート経営で相続税対策の落とし穴 空室が多いと評価額が高くなり節税効果が下がる

相続税対策としての賃貸アパート経営には要注意(イメージ)

相続税対策としての賃貸アパート経営には要注意(イメージ)

 現預金をそのまま持っているより、不動産に変えたほうが節税効果を得られるというのが、相続税対策の基本だ。

 特に賃貸不動産の場合は、賃借人が住んでいることで不動産の所有者が自由に使えず権利が制限されるので自宅などより相続税評価額が低くなる。また、貸付事業用の建物を建てた宅地は「小規模宅地等の特例」が適用されると相続税評価額を50%に下げられるのだ(200平方メートル以内)。

 その特性を利用し、「土地に賃貸アパートやマンションを建てれば相続税対策になり、副収入として家賃収入を得られる」などと営業するハウスメーカーが後を絶たない。

 しかし、不動産の素人が手を出すと痛い目に遭うこともある。岡野相続税理士法人代表税理士の岡野雄志氏が指摘する。

「駅から遠いなど利便性が悪いといった理由で入居者が集まらないと、副収入はおろか節税効果が薄れます。また、借金をしてアパートなどを建てると、相続財産から借入金の分をマイナスの財産として差し引くことができて遺産総額を減らせますが、入居者が集まらないのでは相続した子などにアパートローンの重い負担が残り、返済などに追われることになりかねません」(以下、「」内は岡野氏)

 賃貸用不動産の相続税評価額の計算では満室を100%とする「賃貸割合」が考慮され、賃貸割合が高いほど節税効果を得られる。逆に空室が増えれば、相続税評価額が高くなるのだ。

 また、建物が老朽化したら修繕費が必要になり、家賃の滞納の懸念など、負動産になりかねないリスクがある。どういう対処法が考えられるのか。

「修繕などで空き室を減らす努力は必要です。ただし、立地も悪く老朽化していて経費が家賃収入を上回るというのであれば売却して現金化するのも選択肢となります」

 無駄な出費で遺産が減りかねないので、知識や経験がないなら手を出さない選択も有力だ。

※週刊ポスト2023年9月15・22日号

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