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相続した空き家の対処は「すぐ売却」が正解 制度変更で税負担600万円の差がつくことも

空き家の売却時にかかる税金に今後大きな変化が生じる可能性(イメージ)

空き家の売却時にかかる税金に今後大きな変化が生じる可能性(イメージ)

 総務省の「住宅・土地統計調査」(2018年)によると、全国の空き家は849万戸だった。そのうち、賃貸や売却用を除く(居住目的のない)空き家は349万戸。20年前からほぼ倍増し、2030年には470万戸に増加する見込みだ。全国で放置される空き家の増加に歯止めをかけるべく、岸田政権は「空き家への課税強化」に乗り出す方針であることが、昨年末、報じられた。

 相続した空き家を抱える人や、これから空き家を所有することになる人は、今後、どのように対処すればよいのか。不動産コンサルタントの長嶋修氏は、「お勧めはずばり売却」と言う。

「これまで不動産市況については『東京五輪が終われば価格が下がる』『コロナ禍で不動産価格が暴落する』など様々な予測がされましたが、蓋を開けてみれば昨年も価格は高騰基調で推移しました。新築マンション価格は、一般的な給与所得者には手の届かない水準まで達したほどです。

 今後も不動産価格の高騰が続くと言われますが、それは都心や都市部の一等地など局所的な現象にすぎない。大半の地域で住宅価格の下落が予想され、都市郊外のベッドタウンなどは年3~4%下落してもおかしくないと予想されます。空き家を利用する予定がないのなら、できるだけ早期の売却が有利です。売値は“今”が一番高いと思われます」

 空き家の売却時にかかる税金にも、今後大きな変化が生じる可能性がある。相続に詳しい税理士の山本宏氏が言う。

「現在は、建物などに関する一定要件(別表参照)を満たせば、『相続空き家の3000万円特別控除』の特例(空き家特例)を受けることができます。ただ、適用要件が多く、制度を知らずに利用できなかったという失敗例も多く聞こえてきます。

期限は間近、売却時に「空き家の3000万円特別控除」を使える主な要件

期限は間近、売却時に「空き家の3000万円特別控除」を使える主な要件

 同制度は、空き家の相続人が、その空き家を売却した場合に、売却益(取得価格と売却価格の差額=譲渡所得)から3000万円が特別控除されるもの。たとえば、3000万円で購入した家が6000万円で売れた場合、通常なら売却益3000万円に対して譲渡所得税約600万円(税率約20%)が課税されるところ、空き家特例が適用されれば税金はゼロになる。

 都心の一等地を除き、譲渡所得が3000万円に満たない空き家が大半と考えられるので、特例を活用すれば現状、ほとんどのケースで譲渡所得税は発生しません。ただし、この特例は、今後の法改正次第で撤廃され、将来的に税負担が生じる可能性があります」

 空き家特例は2023年12月31日までの時限措置のため、本来なら今年いっぱいが制度利用のタイムリミットだ(2023年度の税制改正で適用期限4年延長の可能性もある)。

 一連の「空き家リスク」を軽減するには、前出・長嶋氏が言うように、早期の売却検討が求められる。では、実際に空き家を売却するにはどんな注意点があるのか。

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