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旅行は“強力で強制的な気分転換”になる 中高年の「ひとり旅」「夫婦旅行」それぞれのメリット

50代からの元気で幸せになれる「旅の心得」

50代からの元気で幸せになれる「旅の心得」

 旅は道連れ、という言葉の通り、夫婦や友人などとの旅行には、ひとり旅とは別の効果がある。

「誰かと行動をともにしてコミュニケーションを取ると、幸せホルモンの一種である『オキシトシン』が分泌され、心配や不安がやわらぎ、ポジティブな感情が高まります。ひとり旅よりも緊張感が少なく、高いリラックス効果が得られるでしょう」(樺沢さん)

 前出のMさんのように、旅行の思い出を振り返ることも大切だ。東北大学加齢医学研究所教授で医学博士の瀧靖之さんは言う。

「旅行から帰ってきた後、旅先の写真を見たり、買ってきたおみやげを渡して思い出を共有することは、幸福感を高めます。そして、“今度はあそこに行こう”と次の目標を持つと、幸せ度はさらにアップするのです」(瀧さん)

旅行は強力で強制的な気分転換

 もちろん、気の置けない仲間たちとのわちゃわちゃした時間を楽しめることも、旅の大きな魅力だ。東京都の60才の女性・Eさんは同窓会で再会した4人で還暦記念旅行を計画。「年を取ったら行けない場所に行こう!」と大いに盛り上がり、思い切ってハワイへ行くことにした。

「準備段階から気分はアゲアゲで、何時間もファミレスで旅行英会話の練習や作戦会議をしました。いざ現地では郷に従えとばかりに、日本では絶対に着ないような肌を露出したビタミンカラーの派手な服に着替え、初めての食材にも果敢にチャレンジ。何十年かぶりに水着を着てマリンスポーツに挑み、“ギャーッ!”とダミ声を上げて大騒ぎ。何を見ても何をしても楽しくて“笑いっぱなしだったから、がん予防になったわね!”と、帰りの飛行機でも大笑い。半世紀近く前の女子中学生時代に戻った気がしました」(Eさん)

 旅で得られる非日常的な刺激は、認知症予防にもなる。

 2021年に公表されたクラブツーリズムと前出の瀧さんら東北大学のチームが行った共同研究によれば、旅行に出かける人は幸福度が高まるだけでなく、認知症のリスクが下がる可能性があることがわかった。鍵を握るのは、場所や空間などを処理する、脳の「嗅内野」だ。学習院大学理学部教授の高島明彦さんが語る。

「アルツハイマー型認知症は最初期に嗅内野の神経細胞に破壊や萎縮が生じ、その後15~30年ほどで軽度認知症に移行します。旅行に行くことで脳に新たな刺激を与え、嗅内野を活性化して認知症を防ぐことが期待できるのです。また脳内ネットワークの回路を効率的に増やせるという側面からも、認知機能の低下を防ぐ働きがあるとされます」

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