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インボイス制度はなぜ「弱者いじめ」といわれるのか? 実質的な増税で政府の税収1兆円増の推計も

インボイス制度前・導入後(フリーランスのK記者の場合)

インボイス制度前・導入後(フリーランスのK記者の場合)

そもそもインボイス制度とは何なのか

小島さん:インボイス制度は、消費税の申告・納税の新しい制度です。

K記者:消費税の何がどう変わったのでしょうか?

小島さん:実はこれ、軽減税率を導入した2019年に法制度化され、この10月に実施されたもの。もともと軽減税率で、税率が10%と8%の2つになったことで、請求書を出す場合に、税金の税率がどちらなのかを明記しないと訳がわからなくなることから始まりました。インボイスには“適格請求書”という意味があり、納税をしている人は、請求書や領収書などに登録番号と税率をきちんと書くことが法制化されたわけです。従来は、納税している人(課税事業者)と、していない人(免税事業者)の区別がつかなかったものが、この制度では請求書を出す段階で、納税者かどうかや税率が一目でわかるようになったんです。

K記者:免税事業者か課税事業者かをはっきりさせるのがインボイス制度なんですね。それにしても、4年前に決まっていたとは、ちょっとビックリ!!

どんな職業の人に影響があるの?

K記者:インボイス制度の影響をもろに受けるのは、年商1000万円以下の小規模事業者や個人事業主の人たちが中心といわれていますよね?

小島さん:そうですね。もちろん年商1000万円以下の免税事業者は、インボイス登録をして納税者になるか、現状の免税事業者のままでいるかを選べますが、どちらにするかで、それまでの仕事や生活が一変するほどの影響を受けることがあります。ただ、この制度で影響を受けるのは、受注側・発注側の両方です。なぜなら、発注側は受注者がインボイスの対応をしてくれなければ、その分の消費税を支払わなければならないんです。その負担が大きくなれば、死活問題になりかねません。

K記者:なるほど。ということは、私のようなフリーランスでも、インボイスの登録を無視したら、発注側に迷惑がかかることもあるわけですか。

小島さん:そうです。たとえば、Kさんがインボイスの登録をしない場合、これまでKさんに仕事を依頼していた人が、Kさんの税負担をしてでも仕事を依頼してくれるかどうか、場合によっては、仕事の依頼がなくなることもあるわけです。

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