優勝力士の副賞で「米30俵」「牛1頭」が助けに
部屋が大きくなれば、当然、経費が膨らむ部分もある。紀子さんはこう続ける。
「食費が年2000万円というのは、部屋を興した時の金額です。その後にもっと膨れ上がったのは間違いありませんが、合併後は協会からの養成費をそのままその時の支出に回して食べさせていくような状況になり、食費の家計簿などを細かくつけるような余裕がなくなった。どれくらいの額がかかっていたか、はっきりとはわかりません」
一方で、部屋が大きくなって所属力士たちが番付を上げ、優勝に手が届く実力を持つようになると、状況が少し変わる部分もあるという。
「優勝の副賞として、全農賞のお米30俵(当時)や宮崎県知事賞で宮崎牛1頭分のお肉がいただけたりします。こうした副賞にはかなり助けられましたね。何度も優勝する力士が出るようになると全農の担当者の方が、毎回米袋の現物だと大変でしょう、と気を遣ってくださって、お米券でもらえるようになったりしました。ただ、名古屋場所で蕗(ふき)2トンをいただいた時は、一度に受け取ったので周りの皆さんに配るのに苦労した記憶もありますね(笑)」(紀子さん)
今年に入っての2場所で優勝したのはいずれも伊勢ヶ濱部屋の所属力士(照ノ富士、尊富士)だ。合併後も優勝力士を輩出し続ければ部屋の運営にプラスとなりそうだが、果たしてどうなるだろうか。
次ページは、【給金番付】「土俵に埋まるカネ」が一目瞭然 全幕内力士の月給や年収、懸賞金一覧