ネットに氾濫する「ディープフェイク作成アプリ」のまとめ情報
都内の大学に通うかたわら、DJとしてイベントに出演するなど、学生以外との付き合いも多いという男性・Bさん(19歳)は、次のように語る。
「最近、写真を読み込ませると自動で特定のアニメ風に加工してくれる、いわゆるAIアニメ化アプリが流行していますよね。中学生の妹も、自分の写真や友人の写真をアップしてアニメ化して遊んでいるので、10代前半にも普及しているのは間違いないです。
ただ逆にいうと、アプリに写真をアップするだけで精巧な画像加工ができるということ。そうしたなかでネット上には、スマホやPCで誰でも簡単に作成できる、『ディープフェイク作成アプリ』のまとめ情報などが氾濫しています。
悪用されたくないので、具体的なアプリ名は述べませんが、もっとも簡単にできるのは『顔入れ替え』の画像生成。ある画像の顔だけを、別の人の顔に入れ替えることです。また、推しの芸能人や知人の写真を使って、自分とキスをしているようなAI動画を簡単に生成できるアプリもあります。こうしたアプリは、まとめサイトなどで丁寧に使い方が解説されているため、若年層でも簡単に使えてしまうんです」(Bさん)
「フェイク動画作ってよ!」と頼まれるケースも
Bさんは音楽イベントなどで知り合う知人から、「ディープフェイク動画を作って欲しい」と依頼されたことがあるという。
「もともと僕が映像制作が得意だったり、遊びでAI生成の音楽を作ったりしていることもあり、イベントで知り合った人から『あの子の画像でエロ動画つくってよ(笑)』、『この子に別の服着せられたりするの?』などと頼まれたことがあります。もちろん断っていますが、今後こうしたツールが広まっていけば、被害者が増えるのは目に見えています。
大学の友人の女子は、『就活の時に悪影響があったら困るから、高校時代までのSNSは全部削除した』と言っていました。デジタルネイティブ世代のなかでも、リテラシーがある子たちは危機感を抱いています。今はディープフェイクポルノの被害者は圧倒的に女性が多いとされていますが、今後は男性もターゲットにされかねないと思っています。ポルノだけでなく、社会的信頼を失墜させるようフェイクコンテンツが作成され、仕事を失うこともあり得ると考えると、不安でしかたないですね」(Bさん)
急速にAI技術が進歩し、スマホひとつあれば簡単にディープフェイク画像や動画が作成できるようになった昨今、SNSに慣れ親しんだZ世代たちの危機感は高まりつつあるようだ。