「効率的市場仮説」
株式投資とは「企業の本質的価値」と「株価」の差=αを見つけるゲームです。そしてαが見つけやすいのは小型株だと結論も先に述べました。
ところが、αは存在しないという説があるのです。
それが「効率的市場仮説」。ノーベル経済学賞を2013年に受賞したシカゴ大学ユージン・ファーマ教授が提唱した説です。
この説によると以下の3つの条件のもとでは、株価は常にその時点で、その企業の本質的価値を反映しているため、「α」など存在しないというのです。
その3つの条件とは次の通りです。
【1】市場に十分な参加者がいる
【2】市場参加者は十分な知識と情報を持っている
【3】市場参加者は優秀で常に合理的な判断を行う
例えば「1株当たりの本質的価値が1500円」の企業の株価が現在1000円だとします。十分な知識と情報を持った市場参加者はその企業の本質的価値を見抜き、割安に放置された株を買います。逆に株価が2000円なら、市場参加者は割高と見抜き、売却します。その結果、株価は自然に本質的価値である1500円に収束するというのです。
つまり、3つの前提のもと、効率的市場仮説が機能していれば、全ての銘柄の株価にはあらゆる情報・成長期待・将来への不安が織り込まれていることになります。
するとどの銘柄の株価も、常にほぼ適正な価格であるため、大きなαは存在しません。たとえαが存在するとしても少額で、企業分析などの労力に見合うリターンは得られず、市場平均を上回るのは困難ということです。
さて、市場平均を上回る利益を得るのが難しいなら、個別株投資で長期にわたり、市場平均以上のリターンを得ている投資家は存在しないことになります。
ところが実際は、長期で市場平均に勝ち続けている投資家がいます。
なぜそのようなことが起こるのでしょうか?