効率的市場仮説の盲点をつく小型株投資
ここで再び市場参加者の8割はプロということを思い出してください。小型株はそのプロがほとんど参加できない極めて特殊な市場。
つまり、以下の状況です。
【1】市場参加者の80%以上を占めるプロが参加しにくいので、参加者が十分とは言えない
【2】個人投資家がメインなので十分な知識と情報を持っているとは言えない
【3】個人投資家はプロほど合理的な判断はできない
そうです。小型株の世界では「効率的市場仮説」の前提が崩れているのです。
「効率的市場仮説」の前提が崩れるとミスプライスが発生します。
つまり、企業の本質的価値より株価が割高なケースも、割安なケースも存在します。
このミスプライスの中で、株価が割安な投資先、つまり「α」が存在する企業に投資することで、市場平均を上回るリターンが得られるのが小型株の世界なのです。
「大きい玉を見つける」だけが投資じゃない
小型株の世界には企業の本質的価値より「割高な銘柄」も「割安な銘柄」も存在すると言いました。つまり玉石混交です。
小型株には小型割安株と小型成長株があり、「小型成長株」には、割高と思われる「石」の割合が大きく、「小型割安株」には「玉」の割合が大きくなっています。
「小型成長株」の代表的な銘柄と言えばITやデジタル関係のベンチャー系企業。これらの企業は足元で利益を生み出していなくても、将来の成長期待で株価が割高になっている場合があります。
一方で、「小型割安株」は本来の実力よりも過小評価された銘柄が多い傾向にあります。企業の1株当たりの本質的価値は2000円なのに、1000円の株価で売られているような銘柄です。「小型割安株」には、くじ引きで言えば1等賞ではないけれどハズレではない、3等賞あるいは5等賞のような当たりくじもたくさん入っています。
私はこの状態を「ハズレのないくじ引き」と思っています。『ダンドーのバリュー投資』(モニッシュ・パブライ著 パンローリング社刊)から引用すれば「コインの表なら勝ち、裏でも負けは小さい」でしょうか?
私の感覚からすると小型割安株投資で分散投資をすれば「コインの表なら勝ちで、裏でも勝ちが小さいだけ」になります。
このように小型株、それも小型割安株は企業の本質的価値より割安に放置されている、つまりαがある「玉」が数多く存在するフィールドなのです。