終着駅の上総亀山駅に近づくキハE130系気動車
首都圏近郊を1日2720円で乗り放題できるJR東日本の「休日おでかけパス」。青春18きっぷの代わりとして注目されるこのきっぷを使って、一部区間の廃止が決まった久留里線の終点・上総亀山駅までを乗り尽くす旅に出た。途中下車を繰り返して町を歩き、温泉に浸かり、地元グルメを楽しむ。トラベルジャーナリスト・橋賀秀紀氏が列車とともに、春の房総を満喫した1日の記録をお届けする。
50円高くてもあえて紙のきっぷを選ぶ理由
JRのフリーきっぷといえば、青春18きっぷの“大幅改悪”が記憶に新しい。だが、改悪を嘆いていても、状況が改善されることはない。
その代わりとなるような切符はないのだろうか。
日本全国をオールマイティに利用できる「青春18きっぷ」と同じというわけにはいかないが、エリアを限定すれば、「使える」フリーきっぷは見つかる。首都圏でおすすめしたいのが、JR東日本の「のんびりホリデーSuicaパス」(2670円)と「休日おでかけパス」(2720円)である。いずれも土日祝日のみ利用可能で首都圏近郊の定められた区間で1日乗り放題となる。
Suicaに実装するタイプの「のんびりホリデーSuicaパス」が50円安いが、筆者がおすすめするのは紙のきっぷである「休日おでかけパス」。なぜなら、このパスのみ、千葉県の久留里線に全線乗ることができるからだ(久留里線はSuicaに対応していないので、紙のきっぷでないと利用できない)。
千葉県の久留里線といえば、木更津から上総亀山駅までの約32kmの盲腸線。そのうち、久留里駅から終点の上総亀山駅までの3駅は本数・利用者ともに非常に少なく、2024年11月にJR東日本が廃止の方針を明らかにしている(廃止時期は2025年4月下旬時点で未定)。
なお、東京駅から上総亀山駅までは単純往復で3960円。休日おでかけパスなら31%引きとなる。これに途中下車を繰り返せば、割引率はもっと高くなるわけだ。