米中貿易摩擦緩和へのキーマンとなったベッセント財務長官(Getty Images)
米中両国は12日、相互に課している関税を今後の90日間、暫定的に大幅に引き下げることで合意したと発表。共同声明によれば、米国は中国に対する関税率を145%から30%に、中国は米国に対する関税率を125%から10%に引き下げるという。互いに115%の引き下げで合意したかたちだ。
スイス・ジュネーブでの米中閣僚級協議では、関税交渉を担当するベッセント米財務長官と中国の何立峰副首相が相対し、今回の暫定的な合意に至った。米中両国の話し合いは続けられるが、大国同士の摩擦が緩和に向かうことになれば、米国と関税交渉を続ける日本を含む他国にも影響は大きいものとなりそうだ。
共同声明を受け、マーケットも早速反応。12日のNYダウ平均は前日比1160.72ドル高の4万2410.10ドル、13日の日経平均株価は前日比539円高の3万8183円と、大幅に急騰した。ケイ・アセット代表でマーケットアナリストの平野憲一氏は、今回、中国側との交渉にあたったベッセント財務長官が「これまでの動きを見てもキーマンだった」と指摘する。
「トランプ政権は世界各国への追加関税の発動直後となる4月9日にも、その一部について『90日間の延期』を決めました。もともと、多くの人の反対を押し切るかたちで発動した追加関税は、世界経済や株価に甚大な影響を与えてしまった。トランプ大統領を支持・支援してきたヘッジファンドにも大損害を与えたわけです。
そうした事態に危機感を抱き、トランプ大統領に追加関税の一時停止を進言したとされるのが、ヘッジファンド出身のベッセント財務長官でした。大統領の威信を保ちつつ、取り巻きのヘッジファンドも救うためには、追加関税を延期するしかなかったのだと思います。これは悪くない手だったと考えられます」