*12:31JST NexTone Research Memo(1):2026年3月期は好調な市場環境を背景として大幅増益へ
■要約
NexTone<7094>は2016年の発足以降、音楽を中心としたエンタテインメント領域において、著作権管理事業、デジタルコンテンツディストリビューション(以下、DD)事業、音楽配信事業などを展開し、音楽産業における権利者と利用者の双方を幅広くサポートしている。主力事業である著作権管理事業の主な競合は、(一社)日本音楽著作権協会(JASRAC)であり、同社とJASRACの2社寡占市場である。
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比44.5%増の19,412百万円、営業利益が同54.9%増の1,005百万円、経常利益が同57.4%増の1,028百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同30.3%増の692百万円となった。営業利益は会社計画を過達して着地した。売上高は、前期に子会社化した(株)レコチョク及び(株)エッグスの新規連結効果、著作権管理楽曲数・取扱原盤数の増加に伴う著作権管理事業及びDD事業の好調などにより急拡大した。営業利益は、増収効果が人件費の増加や同連結に伴うコストの増加による影響を打ち返し、大幅増益を達成した。
2. 2026年3月期業績見通し
2026年3月期通期の連結業績は、売上高が前期比18.5%増の23,000百万円、営業利益が同79.1%増の1,800百万円、経常利益が同75.0%増の1,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同73.3%増の1,200百万円と、増収増益を予想している。著作権管理事業では、音楽や動画配信市場の拡大を背景に徴収額の順調な増加が期待される。DD事業では、既存法人顧客との関係深化に加え、個人クリエイターとの契約獲得や海外展開の強化などにより収益拡大が見込まれている。その他事業では先行投資が続くものの、2026年3月期中に本格的なサービス展開を計画しており、収益構造の多様化が進むと見込まれる。
3. 中長期の成長戦略
同社は2026年3月期から2028年3月期までの中期業績計画を開示している。2ケタ増収増益基調が続く見通しであり、2028年3月期には売上高296億円、営業利益27億円、営業利益率9.1%を目標としている。収益の中核である著作権管理事業及びDD事業は引き続き高成長を維持しながら、新規事業の展開を通じて収益構造の多角化を進めている。同社は既存事業の拡大にとどまらず、新たな成長ドライバーの創出を図ることにより非連続的な成長を実現し、中長期的な企業価値の持続的向上を目指している。また、同社は2026年3月期から配当を実施する。2026年3月期は1株当たり年間20円(中間0円・期末20円)を見込んでいる。安定的かつ継続的な配当を基本方針とし、収益成長に応じた増配も視野に入れている。
■Key Points
・主力事業の著作権管理事業は同社とJASRACの2社寡占市場
・2025年3月期は主力事業の好調により大幅増益で着地、会社計画を過達
・2026年3月期も高成長局面の継続が期待される、初配も実施へ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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