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【注目トピックス 日本株】ステップ Research Memo(5):2025年9月期中間期は生徒数の順調な増加で計画を上回る増収増益に

*13:25JST ステップ Research Memo(5):2025年9月期中間期は生徒数の順調な増加で計画を上回る増収増益に
■業績動向

1. 2025年9月期中間期の業績概要
ステップ<9795>の2025年9月期中間期の業績は、売上高で前年同期比6.0%増の8,159百万円、営業利益で同5.3%増の2,352百万円、経常利益で同5.3%増の2,398百万円、中間純利益で同5.5%増の1,652百万円と、いずれも計画を上回る増収増益となった。高校及び大学受験における高い合格実績などを背景に新規生徒の募集が順調に進み、期中平均生徒数が同4.7%増と順調に拡大したことが増収要因となった。利益面では、特別賞与73百万円の実施もあり人件費が想定以上に増加したものの、増収効果に加えて次世代ERP導入プロジェクトの遅延によりシステム関連費用85百万円の計上が下期以降にずれ込んだことなどにより計画を上回る増益となった。

(1) 売上高の増加要因
売上高の内訳を見ると、小中学生部門が前年同期比4.7%増の6,428百万円、高校生部門が同10.9%増の1,731百万円といずれも過去最高を更新した。期中平均生徒数は、小中学生部門で同4.5%増、高校生部門で同5.5%増となっており、高校生部門の1人当たり平均売上単価が約5%上昇した。これは単価の高い受験学年の構成比が上昇したことに加えて、2024年4月より2年生に対する割引制度(1科目1,000円の割引)を廃止したことが要因だ。今後は1年生に対する割引制度も廃止する予定にしている。地域別では、横浜市や川崎市の生徒数がスクールの新規開校効果もあり順調に拡大し、全体の伸びをけん引した。

新規開校については、小中学生部門でHi-STEP平塚スクール(平塚市)を3月に、学童保育部門でSTEPキッズ湘南台教室(藤沢市)を3月にそれぞれ開校した。Hi-STEP平塚スクールに関しては圏内に公立中高一貫校があることから、県立中高一貫校対策コースを作って生徒募集を行ったことで、立ち上がりのペースが好調で過去最高ペースとなっている。4月末時点の生徒数は77名で、このうち27名が県立中高一貫校対策コースに在籍している。一方、STEPキッズ湘南台教室も好調な立ち上がりとなっている。小中学部門のSTEPを運営している自社ビルの別フロアに教室を開設しており、既に一定の認知度があったことや、学童ニーズの強いエリアであったことも好調の要因となった。なお、2025年9月期の出校については例年よりも抑えた格好だが、これは今後も高品質な教育サービスを維持するために、教師の採用・育成に取り組む時期と位置付けたためだ。今後1~2年程度は今年度同様、新規スクール開校を抑制気味にし、その後は通常の出校ペースに戻す意向である。

(2) 費用の状況
売上原価は前年同期比6.6%増の5,352百万円となり、売上原価率は同0.4ポイント上昇の65.6%となった。主要項目別で見ると、売上原価の約7割を占める人件費が教師数の増加や給与水準の引き上げに加えて、特別賞与73百万円を支給したことにより同7.8%増、対売上比率で0.8ポイント上昇した。特別賞与は大学や多摩高校の合格者数大幅アップに貢献した教師に対して支給したものである。特別賞与がなければ人件費率は0.1ポイントほど改善していたことになる。教材費は紙代の高騰により同11.4%増と大幅増となり、対売上比率も0.2ポイント上昇した。一方で、地代家賃は新規開校が少なかったことから同2.8%増に留まり、対売上比率では0.3ポイント改善、備品費も新規開校の減少により同35.9%減、対売上比率で0.2ポイント改善した。

販管費は前年同期比2.0%増の454百万円となり、販管費率は同0.2ポイント改善し5.6%となった。主要項目別で見ると、人件費が給与水準の引き上げ等により同4.4%増、その他費用が支払手数料の増加により同15.7%増となったが、広告宣伝費が折込チラシの効率化により同19.7%減、求人費が同17.5%減の29百万円となった。なお、求人費については支払日の期ズレによるもので、4月段階では前年同期比横ばい水準となっている。

実質無借金経営で財務内容は健全
2. 財務状況と経営指標
2025年9月期中間期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比606百万円増加の29,866百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産は現金及び預金が381百万円の増加、売掛金が155百万円の増加となったほか、自己株式取得のための預け金が増加した。固定資産は減価償却の進展により有形固定資産が114百万円減少した。有形固定資産は2020年9月期末の16,989百万円をピークに緩やかな減少傾向が続いている。以前はスクール展開の際、土地を取得して自社物件を建築するケースもあったが、ここ数年の注力エリアである横浜・川崎市内は土地価格等が高く賃貸物件で展開しており、設備投資額が減価償却費の範囲内で推移していることから減少傾向となっている。

負債合計は前期末比278百万円減少の2,744百万円となった。有利子負債が69百万円、前受金が143百万円それぞれ減少した一方で、未払法人税等が116百万円増加した。純資産は同884百万円増加の27,121百万円となった。配当金支払い635百万円と自己株式取得149百万円(減少要因)があったものの、中間純利益1,652百万円の計上が増加要因となった。

経営指標を見ると、自己資本比率が90.8%と引き続き高水準で推移し、有利子負債比率も0.6%と実質無借金経営である。ネットキャッシュ(現金及び預金-有利子負債)も9,883百万円と潤沢にあることから、財務内容は良好と判断される。今後も横浜・川崎エリアを中心に校舎を展開していくため設備投資負担は少なくて済む可能性が高く、積み上がったキャッシュは人的資本への投資と教育環境の整備、株主還元の強化に振り向ける方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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