賞恤金の支給要件は曖昧
階級ではなく任務の違いによって差が生まれるようだが、実際には殉職者に多額の賞恤金が支払われるケースはほとんどないという。自衛官の待遇問題を専門とするジャーナリストの小笠原理恵さんが言う。
「私が知る限り、殉職した自衛官の遺族に高額な賞恤金が支払われた事例はほとんどありません。自衛隊の賞恤金は支給要件が曖昧になっています。
2004年に自衛官がイラク派遣中に襲撃され、亡くなったケースでは、賞恤金は一般の公務員と同様の2200万円ほどとされています。遺族年金は10年間までで、高額な賞恤金はなかったと聞いています」
自衛官のための生命保険もあるが、仮に紛争地や災害地域で殉職したとしても保険金が支払われることはないという。
「自衛官のために防衛省が用意している生命保険があり、ほとんどの自衛官は“防衛省で準備している保険なのだから有事の際でも支払われるだろう”と考えています。しかし、約款を読むと、支払いできない場合(免責事項)に『戦争その他の変乱』『地震・噴火・津波』等の記載があるため、状況によっては保険金が支払われなかったり減額される可能性があります」(佐々木さん)
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