*12:06JST 藤商事 Research Memo(6):2026年3月期はスマート遊技機の投入で増収に転じる見通し
■今後の見通し
2. 2026年3月期の業績見通し
藤商事<6257>の2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.5%増の36,500百万円、営業利益で同2.9%減の3,100百万円、経常利益で同6.1%減の3,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同14.3%減の2,200百万円と増収減益を見込んでいる。
パチンコ遊技機の販売台数は前期比22.3%減の58千台と減少に転じる見通しだ。メインスペックで4機種の投入とシリーズ機種の追加スペックの販売を予定している。メインスペックのうち「アニメ」ジャンルの新規タイトル「P 痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」を2025年4月に投入したが、「LT3.0プラス」の解禁前ということもあって販売はやや苦戦したようだ。残り3機種はすべてスマパチで「LT3.0プラス」搭載機となる。前期に「P 貞子」で好評だった「BIGスタート」を今後投入する機種にも搭載を予定しており、ゲーム性の向上も意識した機種を投入する。第1弾として7月に投入する「e一方通行 とある魔術の禁書目録」はスマパチのなかでもハイスペックな機種に仕上げており、高稼働が期待される。残り2機種は、アニメ系の新規IPで投入する予定だ。売上高はエコ割の販売台数が減少するほか、スマパチの本体販売が中心となるため平均販売単価が上昇し、小幅な減収に留まる見通しだ。一方、パチスロ遊技機の販売台数は前期比57.3%増の28千台を見込んでいる。スマスロのAT機3機種の投入を計画しており、うち1機種は新規IPで投入する予定となっている。
売上総利益率は前期比0.1ポイント上昇の51.2%を見込んでいる。前期に計上した在庫評価損の影響を除けば実質利益率は低下する見込みである。これはパチンコ遊技機で外枠も含めた本体販売の比率が高くなるためだ。また、販管費は同7.8%増の15,600百万円を計画している。内訳は、人件費が退職給付債務の減少により同637百万円減少の2,300百万円となるが、研究開発費が同1,041百万円増加の8,500百万円、広告宣伝費が同384百万円増加の1,000百万円、販売手数料が同148百万円増加の700百万円、その他販管費が同191百万円増加の3,100百万円となる見通しだ。研究開発費についてはスマート遊技機の開発やパチスロ遊技機のライン数増強による開発予算の確保が増加要因となる。また、広告宣伝費は5月にオンラインを中心に開催した「御坂美琴生誕祭」や「anime blast」の運営費用に加えて、各機種の手厚い宣伝活動を実施するための費用を確保した。研究開発費や広告宣伝費については保守的に予算を組んだものと見られ、遊技機の販売台数が計画どおりに進捗すれば、利益段階で上振れする可能性があると弊社では見ている。なお、「anime blast」はYouTube、X、Instagram、TikTokでアニメの声優陣なども出演してコンテンツの魅力を発信する場となっている。この取り組みはコンテンツのファン層の獲得だけではなく、版権元の企業に対して、同社がコンテンツ育成の取り組みを様々な角度から行っていることのアピールといった側面もあると弊社は考えている。なお、従業員数については前期末の458名から若干名の増員を計画しており、部門としては研究開発部門の増員を進める。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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